清水崇らが認めた新たな才能が集結!「日本ホラー映画大賞」授賞作の特別上映会が開催|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
清水崇らが認めた新たな才能が集結!「日本ホラー映画大賞」授賞作の特別上映会が開催

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清水崇らが認めた新たな才能が集結!「日本ホラー映画大賞」授賞作の特別上映会が開催

新たな時代のホラー映画作家の発掘・支援を目的に、株式会社KADOKAWA主催のもとで昨年開催された「第1回日本ホラー映画大賞」。日本初のホラー映画専門フィルムコンペティションであり、第2回の開催も決定している「日本ホラー映画大賞」には、大賞受賞者に応募作品のリメイク版または完全オリジナル新作映画で商業デビューが確約されるほか、審査員特別賞や運営委員会パートナーによる各賞も設けられている。その第1回の大賞ならびに各賞に選考された7作品が、先月18日より4日間、EJアニメシアター新宿にて「第1回 日本ホラー映画大賞 授賞作品 特別上映会」として上映された。

最終日の8月21日に行われた上映後イベントでは、各賞を受賞した下津優太監督、平岡亜紀監督、中野滉人監督、三重野広帆監督、ヤマモトケンジ監督、藤岡晋介監督、武田真悟監督が登壇。お互いの作品を良い点を指摘する"褒め殺し合い"トークが繰り広げられた。

大賞受賞監督には商業映画デビューを確約!
大賞受賞監督には商業映画デビューを確約!

藤岡晋介監督と武田真悟監督が共同監督を務め、豆魚雷賞を受賞した『私にふれたもの』について三重野監督は、「受賞式のときに初めて観たんですが、上映の1本目に流れて、『日本ホラー映画大賞』はレベルが高すぎてちょっと嫌だなと思いました」と当時の心境を吐露。監督たちが絶賛をする本作の老人の特殊メイクについて、武田監督は「(老人の死体を)直接見せない方が多分怖いと思うんですが、堂々と見せて、幽霊映画にあまりないことにチャレンジしました」と、本作のコンセプトについて解説した。

MOVIE WALKER PRESS賞を受賞した近藤亮太監督の『その音が聞こえたら』
MOVIE WALKER PRESS賞を受賞した近藤亮太監督の『その音が聞こえたら』

選考員が、今回受賞した7作品のなかで1番正統派のJホラーを継承している印象を受けたという、MOVIE WALKER PRESS賞受賞の『その音がきこえたら』。今回のイベントは惜しくも欠席となった近藤亮太監督の手腕について、平岡監督は「こっくりさんという昔からある題材だけど、世界観を作り上げるのがすごい上手くて、映像の雰囲気とか空気感がめちゃくちゃ怖かったですし、感動しました」と話し、大好きな作品であると話した。

株式会社闇賞を受賞した三重野広帆監督の『招待』
株式会社闇賞を受賞した三重野広帆監督の『招待』

株式会社闇賞を受賞した三重野監督の『招待』について、三重野監督の大学の先輩だという藤岡監督は「タイミングなどもバッチリで、すべてが間違いなくデザインされていて、隙がないなと改めて感じました」と絶賛。その撮影の裏側について三重野監督は、「全カットのコンテ切って、ロケハンも2回行って、動画を撮ってアングルチェックをして、ビデオコンテも作ったうえで撮影に挑みました」と話し、入念な準備があったからこそできた恐怖演出であったことを説明した。

オカルト部賞を受賞したヤマモトケンジ監督の『傘カラカサ』
オカルト部賞を受賞したヤマモトケンジ監督の『傘カラカサ』

オカルト部賞を受賞したヤマモト監督の『傘カラカサ』は、三重野監督が「デカい幽霊をバンッと出すところで、愛がスクリーンから出ていると感じました。こういうダイナミックな演出は勇気がなくてなかなかできないです」と熱弁。また、各監督だけでなく「日本ホラー映画大賞」を主催するKADOKAWAの小林剛プロデューサーも絶品だと語ったトンネルのロケーションについて、ヤマモト監督は「前日の夜に散歩してたら見つけてしまいました」と話し、偶然が作品を良い方向に導いたことを語った。

若き才能たちが"恐怖"について熱弁
若き才能たちが"恐怖"について熱弁

監督、脚本、撮影とすべてを1人で完成させ、ニューホープ賞を受賞した中野監督の『closet』については、ほかの監督たちも撮影方法が気になって仕方がない様子。カラダが引っ張られていくシーンを、どうやって1人で撮影をしたかを問われると、「茶色は画面と画面をつなぐときにバレにくい色だと考えていて、茶色の服の中に手を入れて引っ張っているように見せて、その色を利用してバレないように画面を繋げていました」と撮影方法を解説。本作で一生分の画面を繋げたと語る中野監督は、「サーカスのようにおもしろい体勢で撮影をして、それを一日中画面を繋げる編集をやって…なにやっているんだろうと我に帰る瞬間もありましたが、出来上がりには満足しています」と話した。

白熱したホラートークが繰り広げられた
白熱したホラートークが繰り広げられた

審査員特別賞を受賞した平岡監督の『父さん』に対しては、ビジュアル的な怖さを控えて作り上げたサウンドデザインに感動したと各監督が激賞。「あえて(怖く感じさせる)音は使わずに、日常のなかでも起こりそうな音で恐怖を感じられるように意識して制作しました」と本作のコンセプトについて解説した平岡監督。また、"父さん"が飲んだコーヒーの量が減っていない演出に関して指摘されると、「ちょっとわかりにくいかなって思ってたんですけど、あれ?って不思議に思ってくれたらいいなと狙って撮りました」と説明した。

大賞の副賞として商業映画リメイクも制作している下津優太監督の『みなに幸あれ』
大賞の副賞として商業映画リメイクも制作している下津優太監督の『みなに幸あれ』

100本強の応募作のなかから厳正なる選考の結果、大賞を受賞した下津優太監督の『みなに幸あれ』。ラストに赤字で出てくるタイトルバックについて問われると、「タイトルの意味として、半分皮肉で半分希望という感じで、みんなが幸せになることは多分ないんだけれども、その希望を捨てずに生きていこうみたいな意味合いが入っています。力強さを出すために、赤の筆字で入れました」と説明。

今回の大賞の副賞となる商業映画デビュー作であり、同作をスケールアップさせたリメイク版を制作している下津監督は、「この1本で世界を変えてやるんだぐらいの意気込みでやっております」と最後に話し、ホラー映画への熱意を語った。

【写真を見る】新たにゆりやんレトリィバァも選考委員に!清水崇、小出祐介ら各界のホラーマスターが集結
【写真を見る】新たにゆりやんレトリィバァも選考委員に!清水崇、小出祐介ら各界のホラーマスターが集結


「第2回 日本ホラー映画大賞」は、10月3日(月)より募集がスタートする。「呪怨」シリーズや「恐怖の村」シリーズで知られる清水崇監督が、前回に引き続き選考委員長を務め、女優の堀未央奈、映像クリエイター・監督・声優のFROGMAN、Base Ball Bearの小出祐介、映画ジャーナリストの宇野維正と、各界のホラーマスターたちが続投。さらに今回、新たな選考委員としてコメディアンのゆりやんレトリィバァも参戦し、多様な視点からプロ・アマチュアを問わず応募作品をくまなく選考していく。我こそはという方は、ぜひ公式サイトの開催概要をチェックしてほしい。

取材・文/編集部

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