『アイ・アム まきもと』『フォレスト・ガンプ』『ビッグ・フィッシュ』…愛すべき変わり者に心揺さぶられる名作9選|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
『アイ・アム まきもと』『フォレスト・ガンプ』『ビッグ・フィッシュ』…愛すべき変わり者に心揺さぶられる名作9選

コラム

『アイ・アム まきもと』『フォレスト・ガンプ』『ビッグ・フィッシュ』…愛すべき変わり者に心揺さぶられる名作9選

『舞妓Haaaan!!!』(07)、『なくもんか』(09)、『謝罪の王様』(13)と、数々の話題作を手掛けてきた水田伸生監督と主演の阿部サダヲが、4度目のタッグを組んで放つ『アイ・アム まきもと』(9月30日公開)。山形県の地方都市を舞台に、市役所の「おみおくり係」に務める公務員の日常を描いたヒューマンドラマで、このタッグらしいユーモアと人間味は健在。加えて、グッと胸に迫る感動作に仕上がっている。

ちょっと頑固で迷惑な牧本は、「亡くなった人の想い」に寄り添うことで人々とつながっていく(『アイ・アム まきもと』)
ちょっと頑固で迷惑な牧本は、「亡くなった人の想い」に寄り添うことで人々とつながっていく(『アイ・アム まきもと』)[c]2022 映画『アイ・アム まきもと』製作委員会

「おみおくり係」の仕事は、独りで亡くなった市民を無縁墓地に埋葬すること。この部署の唯一の職員である牧本壮(阿部)は、誰に頼まれたわけでもないのに自費で葬儀を行ない、遺骨はいつか遺族が引き取りに来ることを信じて納骨せずオフィスに保管しておく。空気が読めない、人の話を聞かない、友達がいない、といった具合に、周囲の人たちからすると、一見、“迷惑”な存在にも見える牧本だが、亡くなった人を大切にしようとする彼の真摯な姿は、観る者の心を温かくする不思議なパワーも感じさせる。そんな本作の魅力を紐解くため、時代を超えて語り継がれる名作たちと照らし合わせて検証してみよう。

融通が利かないけどチャーミングな“ヒーロー”『フォレスト・ガンプ 一期一会』『アイ・アム・サム』

融通が利かない、しかしチャーミングな人間を主人公にしているという点で、真っ先に思い浮かぶのが『フォレスト・ガンプ 一期一会』(94)。アメリカの現代史を背景にした同作の主人公フォレスト(トム・ハンクス)は疑うことを知らず、どこまでも素直に生きて、奇跡的なまでに成功者への道をたどる。地方公務員として閑職に就いている牧本は必ずしも成功者とは呼べないが、悪意とは無縁のまっすぐな生き方はフォレストと共通する。見ず知らずの無縁仏であっても、亡くなった人には敬意を払い、やるべきことを粛々と行っていく。

変わり者だが、実直な性格の男フォレスト・ガンプの数奇な人生を描く『フォレスト・ガンプ 一期一会』
変わり者だが、実直な性格の男フォレスト・ガンプの数奇な人生を描く『フォレスト・ガンプ 一期一会』[c]Everett Collection/AFLO


知的障がいを持つ父親の奮闘を描いた『アイ・アム・サム』(01)の主人公サム(ショーン・ペン)にも近いものがある。サムは幼い娘を自分で育てたいが、障がいを持っているがゆえに周囲がそれを簡単には許さない。『アイ・アム まきもと』の主人公の生き方や考え方も、周囲に理解されにくいという点で類似している。天命であるかのように、牧本はおみおくり係として故人と誠実に向き合うが、新たな上司の合理化方針はそれをよしとせず、おみおくり係は廃止となってしまう。それでも腐らず、最後の仕事に臨む牧本の姿に、愛らしさを覚えずにいられない。

知的障害を持つ父親が、愛する娘との暮らしを守るために社会と闘う『アイ・アム・サム』
知的障害を持つ父親が、愛する娘との暮らしを守るために社会と闘う『アイ・アム・サム』[c]Everett Collection/AFLO

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