仲代達矢が“媚びない”新作映画で、映画界に物申す!|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
仲代達矢が“媚びない”新作映画で、映画界に物申す!

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仲代達矢が“媚びない”新作映画で、映画界に物申す!

名優・仲代達矢が9年ぶりに主演を務めた映画『春との旅』が完成。7日(月)、監督とキャストによる舞台挨拶、記者会見が行われた。

監督は、ロカルノ国際映画祭で『愛の予感』(07)がグランプリを受賞するなど、国際的評価の高い小林政広。当初、本作の映画化は難航したようだ。「作品が地味だと、いろいろなところから断られました。ダメもとで仲代さんの事務所に、台本に手紙を添えて送ったら、仲代さんが作品を気に入ってくれたんです」と、仲代本人に本ひとつで勝負に出た当時の様子を語った。

一方、12月13日(日)に喜寿を迎える仲代達矢は、「役者として晩年を迎えたつもりです。小林監督は映画作りの天才だと思います。この映画に出合えたことを誇りに思います。若い才能ある監督に、お金と時間をもう少し与えてあげられたら、もっと日本の作品が世界に羽ばたいていけると思います」と作品への思いを語るとともに、秀作が埋もれがちの日本映画界に苦言を呈した。

物語は、2人暮らしの祖父と孫娘が、祖父の居候先を探す旅に出るロードムービー。不器用にしか生きられない主人公・忠男の姿は、まるで作品そのもの。万人に受け入れられようと媚びることは一切しない。

作品が地味だとか派手だとかということではなく、本当の秀作が本当の意味で評価されるべきだという、日本映画の今後の在り方を問うような会見となった。【取材・文/鈴木菜保美】

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