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選ばれたのは、気鋭の映像クリエイターと異色の経歴を持つオールドルーキー…東映ビデオの発掘プロジェクトがおもしろいことになっていた!

インタビュー

選ばれたのは、気鋭の映像クリエイターと異色の経歴を持つオールドルーキー…東映ビデオの発掘プロジェクトがおもしろいことになっていた!

“Vシネマ”というジャンルを確立し、近年では『百円の恋』(14)、『愛の渦』(14)、『アンダードッグ』(20)など、多くの賞を獲得した劇場映画を製作して 個性豊かな監督や俳優を多数輩出してきた東映ビデオが立ち上げた、新進クリエイターの発掘プロジェクト「TOEI VIDEO NEW CINEMA FACTORY」。MOVIE WALKER PRESSでは、本プロジェクトを統括する東映ビデオの佐藤現プロデューサー、第1回で選出された2作品をそれぞれ手掛ける中村貴一朗監督、北村美幸監督にインタビューを実施。佐藤プロデューサーは、「これまで多くの作品をつくってきた歴史があり、そこで培ってきた制作能力や人脈は会社としての財産です。それをいま、アップデートしていきたいと考えました」とプロジェクト発足の経緯を語る。

「TOEI VIDE NEW CINEMA FACTORY」を統括する佐藤現プロデューサー
「TOEI VIDE NEW CINEMA FACTORY」を統括する佐藤現プロデューサー

現在も若手監督の登竜門と称されるコンペティションはいくつも存在しているが、佐藤プロデューサーは「自主制作を行ない、商業映画を目指している優秀な監督たちはたくさんいます。しかし彼らが商業映画へ進むための橋渡しになるような作品はまだ少なく、映画市場はおおむね決まった監督やキャストたちで回っていると言えます」と日本映画界が抱える課題を指摘する。「そこでプロジェクトとして、新たな才能を発掘していくことに決めました」。

第1回となる今回は、「低予算でも傑作が生みだせるジャンルで、若い世代のクリエイターと若手俳優を発掘するならば」ということから、「青春映画」をテーマに気鋭クリエイターから作品企画・脚本の公募を実施した。そうして集まった応募作は309本。それらすべてを年齢も性別もキャリアも問わない十数名のプロジェクトチームで手分けして隈なく目を通し、特別審査員を務めた脚本家・映画監督の足立紳も加わり選び抜かれたのが、2本の斬新な青春映画だ。

5分間を無限にタイムループ!?気鋭の映像クリエイターが挑む、誰も見たことのない青春ラブストーリー

『神回』の主人公、樹を演じるのは、NHK連続テレビ小説「カムカムエブリバディ」にも出演した青木柚
『神回』の主人公、樹を演じるのは、NHK連続テレビ小説「カムカムエブリバディ」にも出演した青木柚[C]2023 東映ビデオ

中村監督が手掛ける『神回』は、ある夏休みの高校を舞台にしたファンタジックな物語。文化祭の実行委員となった主人公の沖芝樹は、もう1人の実行委員である加藤恵那と教室で合流し、文化祭の出し物について打ち合わせを始める。ところがその5分後、気がつくと打ち合わせの開始時に戻ってしまっている樹。無限に続く5分間のループから抜け出そうと奮闘する樹だったが、次第に自暴自棄に陥っていく。

「『バタフライ・エフェクト』や『パーム・スプリングス』など、“タイムループ”を描いた作品は傑作ぞろい。そうしたキャッチーな題材を選びながら、これまでのどの作品ともひと味違う。まるでジェットコースターのようにどこに連れて行かれるのかわからず、最終的に普遍的なラブストーリーへと落とし込まれるのが本作の魅力です」と、佐藤プロデューサーも太鼓判。

気鋭の映像クリエイターとして活躍しながらも、10年以上も長編コンペに挑み続けてきたという『神回』の中村貴一朗監督
気鋭の映像クリエイターとして活躍しながらも、10年以上も長編コンペに挑み続けてきたという『神回』の中村貴一朗監督

メガホンをとった中村監督は、これまで数多くの映像の企画演出を手掛けてきた気鋭の映像クリエイター。ユネスコ世界遺産委員会へのプレゼンテーション映像「GUNKANJIMA -Traveler in Time-」で国内外の賞に輝き、YOASOBIの楽曲をソニーの立体音響技術を使ってオーディオドラマ化した「夜に駆ける」など、最新鋭の技術を駆使した画期的な映像表現を得意としている。「10年以上、このような長編コンペに挑んできました。でもなかなか結果が出ず、先が見えなくなっていたタイミングで連絡をもらい、『続けてきてよかった…』と心から思いました」と、中村監督は安堵の表情を浮かべる。

5分間という限られた時間と学校の教室という閉鎖空間を舞台に、中村監督はどのような演出で見せていくのか?(『神回』)
5分間という限られた時間と学校の教室という閉鎖空間を舞台に、中村監督はどのような演出で見せていくのか?(『神回』)[C]2023 東映ビデオ

なぜ“タイムループ”という題材を選んだのか、その理由を訊ねてみると中村監督の謙虚な人柄が見えた。「青春映画は世界中の監督たちがしのぎを削る激戦区。世の中に知られていない自分が、どう立ち向かうかを考えた時に、いっそのこと誰が監督してもおもしろいと思える脚本にしようと考えました」。劇中では何度も何度も同じ5分間が繰り返され、その都度物語は想像もしない方向へと転じていく。「制約があることで物語は活気づいてくる。主人公の内面の機微を大切にしながら、テンポ感を意識して編集作業を進めています」。

異色の経歴を持つオールドルーキーが、女子高生のバイタリティをみずみずしく描く!

農業高校で畜産を学ぶ4人の女子高生を中心に物語が展開する『17歳は止まらない』
農業高校で畜産を学ぶ4人の女子高生を中心に物語が展開する『17歳は止まらない』[C]2023 東映ビデオ

もう一本の受賞作は、北村監督の『17歳は止まらない』(応募時タイトル『17歳は感じちゃう』)。農業高校を舞台に、動物たちの生と死に向き合いながら自らの恋愛には衝動のままに突き進む女子高生を描いた“畜産系青春映画”だ。家畜から “命をいただく”ことの尊さを学び、家計を助けるためにアルバイトも両立している高校2年生の瑠璃。教師の森に想いを寄せている彼女は、情熱を募らせるあまり、森の家へ押しかけて強引に想いを遂げようとする。

同作について佐藤プロデューサーは、「瑠璃というヒロインが本当に魅力的で、一直線で真っ直ぐ。動物たちの生死にまじめに向き合う姿と自分の欲望に忠実な姿のギャップもすごかった。『動いているヒロインを見てみたい』というのが、審査を行なった全員の一致した意見でした」と大絶賛。そして「企画書を読んだ時、脚本家の名前が女性で監督の名前が男性。でも最初の打ち合わせの際に、北村監督しか来なくて、実は両方とも監督のペンネームだったということがありました(笑)。しかも年齢は僕よりも上。それを脚本でまったく感じさせないみずみずしい台詞に、とても驚かされました」。

【写真を見る】1963年生まれ、アダルトビデオ業界出身でコンペ参加という異色の経歴を持つ『17歳は止まらない』の北村美幸監督
【写真を見る】1963年生まれ、アダルトビデオ業界出身でコンペ参加という異色の経歴を持つ『17歳は止まらない』の北村美幸監督

北村監督は1963年生まれのまさに“オールドルーキー”であり、約20年にわたってアダルトビデオの製作や監督を行なってきた異色の経歴の持ち主。「やはり映像に関わる仕事をしている人間として、映画に携わり監督をしたいという思いはずっと持ち続けていました」と、夢をひとつ叶えたことに感慨深げな表情を浮かべる。「以前別の賞に応募した時には相手にされず、それでも自信があったので推敲し直し、翌年に女性名のペンネームで再応募したところ二次選考まで残った経験がありまして…。今回もその時の女性名で応募しました。そしたらまさか通ってしまって…。佐藤プロデューサーに最初に会う時に、どう取り繕うか考えに考え、もう正直に謝るしかないと…(笑)。でも佐藤プロデューサーは笑って許してくれました」。


畜産を通じて動物の生死を見つめる視点に着目した(『17歳は止まらない』)
畜産を通じて動物の生死を見つめる視点に着目した(『17歳は止まらない』)[C]2023 東映ビデオ

農業高校を舞台に選んだ理由は、数年前にテレビで見たドキュメンタリー番組がきっかけだという。「農業高校の生徒を追っていて、これまで農業高校に対して勝手に持っていたイメージを覆されるような生活ぶりと、生徒たちのバイタリティにものすごく感動しました」。撮影にあたって避けては通れなかったことは、動物を使うということ。「本当に言うことを聞いてくれないので苦労の連続でした」と北村監督は苦笑いしながら振り返る。「犬はバテるし飽きっぽいし、最初に使おうとした元ばんえい競馬の馬は恐ろしく大きくてキャストがビビってしまったり。もう動物はこりごりです(笑)」。

■『神回』応援プロジェクト
11月28日(月)23時59分まで
詳しくはこちら

■『17歳は止まらない』応援プロジェクト
2023年1月23日(月)23時59分まで
詳しくはこちら