“ゲス顔”もかわいいアーニャ!テレビアニメ「SPY×FAMILY」の多彩な魅力を再確認|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
“ゲス顔”もかわいいアーニャ!テレビアニメ「SPY×FAMILY」の多彩な魅力を再確認

コラム

“ゲス顔”もかわいいアーニャ!テレビアニメ「SPY×FAMILY」の多彩な魅力を再確認

2022年10月からテレビアニメ第2クールが放送されてきた「SPY×FAMILY」。全員が正体を隠した“偽り”の家族による日常を描いた異色のコメディ作品として第1クール(22年4~6月放送)から高い評価を受け、第2クールでも変わらぬ人気を集めた。先日、最終回を迎えたばかりの本作について、なにが人々の心を惹きつけたのか?その魅力を改めて確認してみたい。

全員が正体を隠した“偽り”の家族の日常を描いた「SPY×FAMILY」
全員が正体を隠した“偽り”の家族の日常を描いた「SPY×FAMILY」[c]遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会

“偽り”の家族になったスパイ、殺し屋、超能力者の日常を描く物語

隣り合う東国(オスタニア)と西国(ウェスタリス)の間ではかつて戦争が繰り広げられていたが、いまは仮初の平和が成り立っている。互いに諜報員を忍ばせ、熾烈な情報戦が行われるなか、オスタニアの要人、デズモンドがこの平和を脅かそうとしていることをウェスタリスが察知。オスタニアに潜入していた凄腕のスパイ、コードネーム〈黄昏(たそがれ)〉(声:江口拓也)は、デズモンドに接触しその動向を探るという重要任務「オペレーション〈梟(ストリクス)〉」を遂行していく。

平和を脅かすオスタニアの要人に近づくため、ウェスタリスのスパイ、〈黄昏〉は精神科医ロイド・フォージャーとして“偽り”の家族を作る
平和を脅かすオスタニアの要人に近づくため、ウェスタリスのスパイ、〈黄昏〉は精神科医ロイド・フォージャーとして“偽り”の家族を作る[c]遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会

緊迫した社会情勢が背景にある「SPY×FAMILY」は、主人公である優秀なスパイが活躍する本格アクション…と思いきや、フタを開けてみれば“ホームコメディ”というところがポイントだ。慎重なデズモンドは息子たちが通う名門イーデン校の特別な懇親会にしか姿を見せないと言われており、〈黄昏〉には「家族を作り、子ども利用して懇親会に潜入せよ」という指令が下る。そこで、彼は精神科医のロイド・フォージャーに扮し、孤児院からアーニャ(声:種崎敦美)という少女を引き取るのだが、彼女は人の心の声を聞き取れる超能力者だった。さらに、偶然の出会いからお互いの利害が一致し、妻役としてヨル(声:早見沙織)を迎え入れるが、彼女もまた、表向きは市役所職員として働いているが、実は凄腕の殺し屋…。お互いの正体を知らないまま(アーニャだけは知っている)、3人の新生活がスタートする。

きっかけは任務だが、ヨルとアーニャのことを本当の家族のように大切に想っているロイド
きっかけは任務だが、ヨルとアーニャのことを本当の家族のように大切に想っているロイド[c]遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会

表と裏の顔を使い分ける、キャラクターたちのギャップも魅力!

ロイド、ヨル、そしてアーニャの3人は全員が自分の素性や能力を隠している偽装家族だ。それゆえ、時々やりとりにチグハグが生まれることがある。特に“いばら姫”のコードネームを持つ殺し屋のヨルは、イーデン校の面接練習をしている際に「志望動機」を「死亡動機」と誤認したり、ドッジボールの練習中にボールを投げる力が強すぎるために木を倒したり、テニスボールを木っ端微塵にしてしまったりと、一般人離れした素顔を隠しきれていない…。

ロイドもスパイとしてポーカーフェイスを保っているものの、アーニャがイーデン校に晴れて合格し、入学式で彼女の同級生にスパイの情報源となりそうな政府要人や社長が多いと知ると、「仲良くするんだぞ!」と少しズレた目線から応援するなど、職務に忠実すぎるあまり不自然な言動を取ってしまうことも。


不器用ながらもロイドやアーニャの支えになろうとするヨル
不器用ながらもロイドやアーニャの支えになろうとするヨル[c]遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会

彼らの周辺人物もユニークで、ヨルの弟ユーリ(声:小野賢章)は外務省の職員として振る舞っているが、実は国家保安局の少尉。任務中は冷徹な顔も見せるが、極度のシスコンで姉のことになると理性を失ってしまう。また、ロイドの後輩のスパイで、彼と同じ病院に事務員として潜入しているフィオナ・フロストこと〈夜帷(とばり)〉(声:佐倉綾音)も、表情ひとつ変えずに任務を淡々とこなす姿で周囲から敬遠されているが、内心では先輩への熱烈な恋心を抱いており、ヨルから妻の座を奪おうと策を巡らしている。このように、なにかを隠して表と裏の顔を使い分ける魅力的なキャラクターたちの少し歪な物語が綴られていくところに、本作のおもしろさがあると言える。

〈夜帷〉のコードネームを持つフィオナは、スパイの先輩であるロイドへの熱い恋心を隠しているのだが…
〈夜帷〉のコードネームを持つフィオナは、スパイの先輩であるロイドへの熱い恋心を隠しているのだが…[c]遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会

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