清水崇監督、少年時代は「怖がり」ジャパニーズホラーの巨匠の原点とは|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
清水崇監督、少年時代は「怖がり」ジャパニーズホラーの巨匠の原点とは

インタビュー

清水崇監督、少年時代は「怖がり」ジャパニーズホラーの巨匠の原点とは

『呪怨』シリーズをはじめ、数々のヒット作を生み出している清水崇監督。最新作となるホラー映画『こどもつかい』(6月17日公開)では、7人の子どもの霊を操る謎の男“こどもつかい”を主人公に、観客を恐怖の世界へと誘う。“ジャパニーズホラーの巨匠”と呼ばれる清水監督だが、意外にも「子どもの頃は、怖がりだった」と告白。その原点に迫る。

本作は、子どもに怨まれた大人の命を奪う謎の男“こどもつかい”の恐怖を描くホラー映画。映画初主演を果たした滝沢秀明が、特殊メイクを施してミステリアスな“こどもつかい”役にチャレンジしている。新たなホラーキャラクターを生み出したが、「もちろんホラーですが、『箱を開ければ全部怖い』というような、絶対的な悪霊と対峙するだけの映画にはしたくなかった」と清水監督。

刺激的なシーンで驚かせるだけではなく、共感や心を揺さぶる作品を目指した。「冒頭では母親が自分の娘をベランダに放置してしまうんですが、そういう事件は実際にあるし、目を逸らせないもの。例えば両親の介護があったり、離婚調停中だったり、大人の側も色々と抱えている事情があって、そういう瞬間に行き過ぎた叱り方をしてしまうことって、とても現実的なことだと思うんです。すると大人にも子どもにもお互いに遺恨になってしまったり、ため込んでいってしまうものがあるはず。その姿は、世界中どこでもあることだと思うし、とても痛々しいこと。そういった現実的な入り口から入って、“こどもつかい”というとんでもない存在が現れるようにしたんです」。

「ホラーだからこそ、ベースに共感できるものがないとダメ。そうしないと、荒唐無稽なだけのものになってしまう」とこだわりを明かすが、その思いはCGになるべく頼らず、アナログの手法を使用する姿勢にも現れている。「すごく派手なシーンでも、『CGを頑張りましたね』で終わってしまうと、決して共感には繋がらないと思うんです。心情やドラマの部分に寄り添えなくなる。僕は規模や予算に関わらず常に、なるべくアナログでできることはやりたいと思っています」。

今やジャパニーズホラーの巨匠と呼ばれる清水監督だが、「子どもの頃はものすごく怖がりで」と意外な告白。「怖いものをわざわざ見たい人がいるなんていうのも考えられなかった。ましてや自分が怖いものを作る側になるなんて、思っても見なかった」と笑うが、そんな彼の映画監督への道を開いたのは、スティーヴン・スピルバーグ監督の『E.T.』だそう。

「観る前は『E.T.』も怖い映画だと思っていたんです。なんだか気味の悪い宇宙人が出てくる映画にみんなが感動しているって、なんだそりゃ!って思っていた(笑)。でも親戚に誘われて、『怖いから』と断るのも恥ずかしかったので、観に行って。そうしたら思いの外、感動してしまったんです。僕も当時10歳で、主人公のエリオット少年と同い年だったんです。それに『気味の悪い宇宙人だ』と思っていたものが、ほんのニ時間足らずで『ものすごく愛おしい』と感じさせることができる映画って、なんてすごいんだと思った」。

そこから「怖い要素やドキドキする要素も、感動的なドラマにつながる」と発見した清水少年。「パンフレットを読んで、『監督という役割の人が映画の世界を握っているんだ』と意識するようになった。そこがすべての入り口です」と原点を振り返る。

怖さが感動につながることを知ったことに加え、“怖がりな性格”もホラーを作る上での原動力だと語る。「子どもの頃は押し入れはもちろん、階段の踊り場とかもすごく怖くて。木が揺れるだけでも怖かった(笑)。そういう怖がりな子どもだったからこそ、大人になった今でもその感覚をすごく覚えているんです」。

今はいたずらを仕掛けるような気持ちで恐怖描写に挑んでいる。「本作のキャラクター“こどもつかい”は、どこか子どものようなキャラクターですが、準備をしている時に『これはきっと僕だ』と気づいたんです。少年の心を持ち続けていることが、ホラーを作る原動力かもしれませんね」。【取材・文/成田おり枝】

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