ジェームズ・キャメロンが語る、『タイタニック』考察飛び交うラストシーンの“答え”|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
ジェームズ・キャメロンが語る、『タイタニック』考察飛び交うラストシーンの“答え”

インタビュー

ジェームズ・キャメロンが語る、『タイタニック』考察飛び交うラストシーンの“答え”

1997年に公開されるや、全世界で驚異的なロングランと共に社会現象を巻き起こしたジェームズ・キャメロン監督の『タイタニック』。当時の全世界興収の新記録を樹立し、第70回アカデミー賞では作品賞を含む歴代最多タイの11部門を受賞。日本でも歴代洋画興収第1位となる262億円を記録し、いまだにその記録は破られていない。

そんな数々の金字塔を打ち立てた永久不滅のラブストーリーが、公開25周年という節目をむかえたいま、最新鋭のリマスター技術によって『タイタニック:ジェームズ・キャメロン25周年3Dリマスター』としてスクリーンに復活。2月10日に公開を迎えると、当時劇場で観た世代や、VHSやDVDなどで観てきた世代、さらにはまだ観たことがない若い世代までもが劇場に押し寄せ、都市部を中心に満席回が続出している。

本稿では、本作の公開にあわせて行われたグローバル記者会見のなかでキャメロン監督が語った言葉をインタビュー形式で再構成。『タイタニック』の制作に至ったきっかけや、撮影時の思い出話、そして公開から25年が経ったいまでも世界中で絶大な支持を集めていることへのキャメロン監督自身の想いなど、余すところなくお届けしたい。

1912年に起きたタイタニック号沈没事故を描いた『タイタニック』
1912年に起きたタイタニック号沈没事故を描いた『タイタニック』[c] 2023 by 20th Century Studios and Paramount Pictures.

「タイタニック号の話は、人々にとって決して終わらない」

現在公開中の『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』でも“海”を題材にするなど、海と切っても切り離せない関係にあるキャメロン監督。海洋学者のジャック=イヴ・クストーの影響を受けて15歳でスキューバダイビングの免許を取得し、やがて映画監督になり『アビス』(89)の制作をきっかけに海の深部とそれにまつわるテクノロジーに興味を持つ。そしてウッズホール海洋研究所の人々や、1985年にタイタニック号の残骸を発見したことで知られるロバート・バラードとの出会いによってタイタニック号の歴史に心を奪われていったという。

本作が作られる以前にもフランク・ボーゼージ監督の『歴史は夜作られる』(37)や、デビー・レイノルズ主演の『不沈のモリー・ブラウン』(64)など、幾度となく映画の題材にされてきたタイタニック号の沈没事故。そのなかでもキャメロン監督が影響を受けた作品は、ロイ・ウォード・ベイカー監督の『SOSタイタニック 忘れえぬ夜』(58)。「ラブストーリーの背景としてすばらしいものがあると感じた」と振り返っている。

画家を志す青年ジャックと、親に決められた人生に絶望していたローズとの運命の恋が描かれる
画家を志す青年ジャックと、親に決められた人生に絶望していたローズとの運命の恋が描かれる[c] 2023 by 20th Century Studios and Paramount Pictures.

「20世紀フォックス(当時)に最初に売り込みに行った時、私はタイタニック号の絵で有名なケン・マーシャルの本を持っていき、その本の真ん中にある見開きページの絵を見せました。タイタニック号が沈みかけ、救命ボートがそこから離れて行こうとしている絵です。そして私はフォックスのトップにこう言いました。『ロミオとジュリエットの話がここで起こるんです』。そして脚本を書き始めました」と、最初からラブストーリーとして描くビジョンが根底にあったことを明かす。

そしてキャメロン監督は「タイタニック号の話は、人々にとって決して終わらない」と、この悲劇には惹かれずにはいられないポイントがいくつもあると語る。「タイタニック号のあとにも大きな悲劇はたくさんありました。ですが、タイタニック号はどこか神話的な部分を持っている。愛や犠牲、免れない死というものが絡み合っている。例えば女性と子どもたちが助かるように、男たちは救命ボートに乗りませんでした。そこには品格があります。また、あの船は沈まないと言われていましたが、扱う人たちは正しいことをしなかった。テクノロジーや人間の知性を信頼しすぎるとどうなるかという教訓が、そこにあるのです」。


【写真を見る】25年を経ても各地で満席続出の大反響!最新鋭の技術で美しくよみがえった名シーンの数々を3Dで堪能
【写真を見る】25年を経ても各地で満席続出の大反響!最新鋭の技術で美しくよみがえった名シーンの数々を3Dで堪能[c] 2023 by 20th Century Studios and Paramount Pictures.

「悲しみや切なさ、そうしたものがすべて盛り込まれている。すでにあるすばらしいストーリーのうえに、私たちは自分のストーリーを重ねていきました。この映画のおかげで、世界中の人々はいま、タイタニック号の歴史についてもっとよく知るようになったと思います。ストーリー自体はフィクションでも、歴史的な部分を正確に描くことを、私たちはとても重視したのです」。

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