キム・ダミから始まった「魔女」ユニバースとは？イラストで解説する『THE WITCH／魔女 ―増殖―』の世界
「魔女プロジェクト」の関係者に少女をねらう暗殺チーム、上海から来た謎のアサシン4人組も絡んた物語が展開
本作ではアサシンを生みだす「魔女プロジェクト」や組織を取り巻く相関関係も見えてきた。ペク総括が立ち上げた魔女プロジェクトは40年にわたって続くプロジェクト。ペク博士が長年の研究によって生みだした魔女ジャユンの欠点を克服し、さらに精度を高めた“魔女の完全体”が少女なのである。
そんな少女をめぐって本作には3つのチームが登場する。まずはすでに組織から引退しているペク総括で、魔女の力を危険視している彼女は少女の暗殺を計画。それを持ちかけられたチョ・ヒョンと彼女のチームは、命令違反と知りながら暗殺を請け負う。もう一つがチョ・ヒョンの元上司チャン(イ・ジョンソク)と彼のチーム。チャンはペク総括とチョ・ヒョンに不審を抱き、2人の動向に目を光らせている。さらに、土偶と呼ばれる残忍な4人組のアサシンが、上海からやって来る。彼らはギョンヒたち姉弟と対立しているヤクザの親分ヨンドゥ(チン・グ)を利用して少女のもとに現れる。
前作以上にスピード、パワー共に大幅アップを遂げたダイナミックなサイキック・アクション
「魔女」シリーズの魅力がダイナミックなサイキック・アクション。前作でも目にも止まらぬ早業で、ジャユンが武装隊員やアサシンたちを蹴散らす様が描かれたが、さらなる強敵たちが少女に襲いかかる本作はスピード、パワー共に大幅アップを遂げた。殴る、蹴る、投げるといった格闘戦に加え、車を蹴飛ばし、宙を跳び、敵の体を木っ端微塵に粉砕するスペクタクル。さらに、チョ・ヒョンの暗殺チームと土偶チームが入り乱れる集団バトルと大興奮のバトルシーンが盛りだくさん。ワイヤーや3DCGを駆使したスケール感ある画作りは、前作にはない爽快感が味わえる。
オーディションを勝ち抜いた新人を中心に韓国のスター俳優が集結！
個性派＆実力派ぞろいのキャスティングにも注目したい。今回、最も注目されたのが主演のキャスティング。というのも前作では無名の新人キム・ダミが抜擢され、その圧倒的な存在感が大きな話題を呼んだのだ。今作もオーディションが行われ、1408人のなかから新人シン・シアが主役の座を射止めた。わずかに演技経験のあったキム・ダミに対し、シン・シアはこれが映画、テレビを含めて初の演技。未経験にもかかわらず、神秘的な雰囲気を漂わせて堂々と演じる姿はまさに魔女級だ。少女を保護するギョンヒを「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」で自閉症の天才新人弁護士を演じ絶賛されたパク・ウンビン、アークの責任者チャン役は「ロマンスは別冊付録」「ビッグマウス」などドラマを中心に活躍しているイ・ジョンソク。「黄金の私の人生」や「リーガルハイ」のソ・ウンスが、ダーティななかに女性らしさを漂わせるチョ・ヒョンを演じるなど豪華キャストの共演も見どころだ。
さらなる魔女の登場も？「魔女」ユニバースの今後にも期待！
なにもかもがひっくり返る“転覆”ドラマとして作り上げられた前作から、魔女たちの“増殖”を予感させる本作へと、世界観を広げながら展開している「魔女」ユニバース。少女のドラマは幕を閉じたが、多くの伏線を追加した本作以降もますます物語は加速していきそうだ。まず気になるのが組織や魔女プロジェクトの真の目的。進化にまつわる図版をコラージュしたオープニングからして、「屈強な兵士を作る」というレベルをはるかに超えてきそうな気配。新たに登場したアサシンたちがどんなドラマを繰り広げ、今後はどんな魔女が登場していくのか…期待は膨らむばかり。パク・フンジョン監督の次の一手が楽しみだ！
文/神武団四郎
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