選曲意図を知ると倍楽しい!「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」最高のフィナーレを彩る音楽を解説|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
選曲意図を知ると倍楽しい!「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」最高のフィナーレを彩る音楽を解説

コラム

選曲意図を知ると倍楽しい!「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」最高のフィナーレを彩る音楽を解説

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(14)の主人公ピーター・クイル(クリス・プラット)がハイテク武器と一緒に肌身離さず持ち歩いていたのは母の大好きな音楽が詰め込まれたカセットテープ「AWESOME MIX VOL. 1」だった。このカセットをひとつ持ったままヨンドゥ(マイケル・ルーカー)に宇宙に連れ去られたピーターにとってウォークマンで聴く音楽だけが地球との唯一のつながり。そんなピーターや仲間が抱える想いや心象風景を体現するかのように70年代のヒット曲や名曲が数多くのシーンを彩った。

銀河一の落ちこぼれチーム、“ガーディアンズ”が結成された『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
銀河一の落ちこぼれチーム、“ガーディアンズ”が結成された『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』ディズニープラスで配信中 [c]Marvel Studios 2023

母との最期の別れの時にプレゼントされ、ガーディアンズとして生きていくことを覚悟したラストで満を持して開封したのが「AWESOME MIX VOL. 2」。続編『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(17)は、ピーターの出生の秘密を紐解くために母親の若き日々も描かれることで、「VOL. 2」はさらに時代が遡り60~70年代のポピュラー・ミュージックがぎっしり詰まっていた。「VOL. 1」はオリジナル新曲が未収録の“既発曲だけを集めたアルバムとして史上初の全米アルバム・チャート1位”の記録を達成している(「VOL. 2」は全米4位)。

一癖も二癖もある登場人物がひしめく「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズのなかでもう一人の主人公といっても過言でない圧倒的な存在感を放つ音楽、正確にはロック&ポップス。本稿では、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』(公開中)における“音楽”が「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のストーリーラインにおいてどのような役目を果たしているのか、解説していく。

オープニングから意表を突く!ジェームズ・ガンの秀逸な演出

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3 オーサム・ミックス Vol. 3(オリジナル・サウンドトラック)』は販売中
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3 オーサム・ミックス Vol. 3(オリジナル・サウンドトラック)』は販売中[c] Marvel Studios 2023

映画の公開に先駆けて発表された使用曲プレイリストはさながらキャスティング発表のように注目され、世界中のエンタメニュースのトップを飾った。そのキャスティングを行っているのは他でもない監督・脚本のジェームズ・ガンだ。

「(1作目タイトルバックの)Redbone『Come & Get Your Love』(73)でも(2作目タイトルバックの)Electric Light Orchestraの『Mr. Blue Sky』(77)で始まるわけでもない。Radioheadの『Creep』(92)のアコースティック・ヴァージョンで始まるんです。冒頭からこれまでの2作とはまったく違うトーンになるんですよ」(米Rolling Stone誌ジェームズ・ガンのインタビューより要約)。

【写真を見る】アコースティックな楽曲で彩られた、これまでとひと味違う冒頭シーン!(『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』)
【写真を見る】アコースティックな楽曲で彩られた、これまでとひと味違う冒頭シーン!(『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』)[c] Marvel Studios 2023

監督の予告どおり、5月3日に劇場公開され、ゴールデンウィーク中の興行収入で7億円に迫る勢いを見せる『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』のオープニングで流れたのはRadiohead「Creep」。鬱屈感情を唯美に描き出すロマンティズム、ギターノイズやディストーションサウンドの炸裂、アグレッシヴな歌詞とメロディを織りなす究極の90sポップ金字塔…こんな当時の過剰なメディア賛辞などに嫌気がさしたメンバーがのちにライブ演奏を封印したいわくつきの楽曲。ライブ解放するまでに長い月日を要したことはファンならば周知。92年のバンドアプローチなオリジナルよりもトム・ヨークの歌声をフィーチャーしたアコースティック・ヴァージョンを使用したのは“心の声”をより劇場に響かせたかったからだろう。劇中でZuneを片手に「俺はウジ虫だ(Creep)」と一緒に口ずさんでいるのは銀河一凶暴なアライグマ=ロケット(声:ブラッドリー・クーパー)だ。過去の封印から未来への解放。ガン監督は最初の4分間、「Creep」のアコースティック・ヴァージョン登用だけで、この最新作のテーマの主軸、そして誰の物語であるかを明確にしたようだ。

本作のカギを握る、ロケットの壮絶な過去とは?(『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』)
本作のカギを握る、ロケットの壮絶な過去とは?(『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』)[c] Marvel Studios 2023
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■『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3 オーサム・ミックス Vol. 3(オリジナル・サウンドトラック)』
国内盤CD発売中&プレイリスト公開中
公式サイト:https://www.universal-music.co.jp/guardians-of-the-galaxy/products/uich-1022/
レーベル:Hollywood Records
発売:ユニバーサル ミュージック合同会社 パートナー・レーベルズ

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