『渇水』で“死んだ目”披露した生田斗真のキャスティング理由を監督が明かす「生田さんの目の力に射抜かれて」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
『渇水』で“死んだ目”披露した生田斗真のキャスティング理由を監督が明かす「生田さんの目の力に射抜かれて」

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『渇水』で“死んだ目”披露した生田斗真のキャスティング理由を監督が明かす「生田さんの目の力に射抜かれて」

生田斗真が主演を務める映画『渇水』の初日舞台挨拶が6月2日にTOHOシネマズ日比谷で開催され、生田をはじめ、門脇麦磯村勇斗、山崎七海、柚穂、高橋正弥監督、プロデュースを務めた白石和彌が登壇。台湾での公開と上海国際映画祭での上映が決定した本作。「国を超えて、我々が一生懸命に作った作品をたくさんの方に届けられるのがうれしい」と喜んだ生田が、先日『PERFECT DAYS』で第76回カンヌ国際映画祭の最優秀男優賞を受賞した役所広司について触れ、「かっこよかったよね。励みになります。憧れます。我々も頑張らないといけないなと思った」と晴れやかな笑顔で受けた刺激を明かした。

『渇水』の初日舞台挨拶が開催された
『渇水』の初日舞台挨拶が開催された

第70回文學界新人賞受賞、第103回芥川賞候補となり注目を浴びた河林満の名篇を原作に、映画監督の白石和彌が初プロデュースして映画化した本作。料金滞納家庭の水道を停めて回る水道局員の岩切俊作(生田)と、たった二人で家に残された幼い姉妹を中心に、一件の停水執行をきっかけに巻き起こる心の物語を描く。

高橋監督は「1990年に書かれた小説が原作。バブル期の終わりに、華やかな生活の裏にある貧困や格差社会、児童虐待の要素が描かれている小説だった」と口火を切り、「2020年代もそういった問題は解消されておらず、かつ顕在化していっている状況。このままさらに20年、30年経っても、変わらない状況になるのは、大人として(どうなんだろうかと)。我々大人の世代がいま変えていかなければいけないんだという想いもあり、次の世代にあらゆる問題をきちんと提示、提案したく作らせていただいた」と本作に込めた想いを語った。

【写真を見る】幼い姉妹を演じた注目の女優、山崎七海と大きな笑顔を見せた生田斗真
【写真を見る】幼い姉妹を演じた注目の女優、山崎七海と大きな笑顔を見せた生田斗真

印象的なシーンに話が及ぶと、生田は「2人の若い女優が、水の張っていないプールでシンクロナイズドスイミングのごっこ遊びをしているシーン」とにっこり。「すごく輝いて見えた。2人の煌びやかさが際立っていた」と山崎と柚穂に笑顔を向けた。「長回しで、縁側で(アイスの)ガリガリくんを食べるシーン」という白石は、「最後にアイスを食べ切らないといけない。(役者の)芝居もだけれど、アイスを食べる技術、すごいなと感心しながら見ていた」と語り、会場も大爆笑。磯村はそのシーンの撮影時に何本もアイスを食べることになったそうで、「食べましたね、生田さん」と苦笑い。生田は「磯村勇斗が真夏に震えているのが、不憫でならなかった。でも好青年ですから、スタッフの方々が『大丈夫ですか?』と聞くと、震えながら『大丈夫です』と言っていた」と回想し、磯村と大爆笑していた。

生田斗真の演技にグッときたという門脇麦
生田斗真の演技にグッときたという門脇麦

役者陣の熱演に感謝した高橋監督が、それぞれの魅力について語る場面もあった。生田については、「生田さんの目の力に射抜かれて、ぜひ岩切役を生田さんに演じてほしいというところから始まった」とキャスティングを振り返り、「そこから逆算して、最後に爆発する芝居の時に、一番いい目をしてほしいなと思っていた。それを表現してもらった。冒頭からいろいろなことが起きて、目が死んだように疲れていく様も表現してくれて、すごく感銘を受けた。生田さんでよかった」と大絶賛。

門脇麦の説得力あふれる演技に感銘を受けたという、磯村勇斗
門脇麦の説得力あふれる演技に感銘を受けたという、磯村勇斗

さらに門脇の凛としたたたずまいや、磯村がセリフがないシーンでも感情を込められること、山崎には生田に負けない目力があること、柚穂は身体を使っていろいろなものを体現できる存在であることなど、それぞれの見せた役者力に惚れ惚れとした高橋監督。生田は「どんな顔をして聞いていればいいのか」と大照れだったが、キャスト全員で「ありがとうございます」と監督に感謝しきり。白石も「みんなが実在感を作ってくれた。すごくリアルに演じてくれて、『渇水』がすばらしい作品になった」とキャストを称えていた。


最後に生田は「30年以上前の原作。この映画の企画が始まったのは10年も前。30年前でも10年前でもこのメンバーはそろわかなかった。この時代につくったからこそ、このメンバーで届けられたことをうれしく思っています」としみじみ。「河林さんの情熱が、時を経て実を結んだと思っています」と感無量の面持ちを見せていた。

取材・文/成田おり枝

※山崎七海の「崎」は「たつさき」が正式表記
※高橋正弥の「高」は「はしごだか」が正式表記

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