大泉洋が明かす、墨田区向島での撮影秘話「下町の風景がとても大事な要素になっている」

インタビュー

大泉洋が明かす、墨田区向島での撮影秘話「下町の風景がとても大事な要素になっている」

「言問橋で起きた、戦争の悲惨さも描きだされています」

言問橋は、東京大空襲で多くの人が亡くなった場所でもある。本作では、田中泯演じるホームレスのイノさんが昭夫に語りかける形で、言問橋で起きた悲劇を伝える場面もある。

田中泯演じるホームレスのイノさんから、下町の悲劇的な歴史が語られる
田中泯演じるホームレスのイノさんから、下町の悲劇的な歴史が語られる[c]2023「こんにちは、母さん」製作委員会

大泉によると「そのシーンは、山田監督にものすごく粘って撮っていただいた」と監督が何度も演技指導に入っての熱演が繰り広げられたといい、「空襲があった時に(浅草方面と向島方面の)両岸から人々が殺到してしまって、言問橋ではたくさんの方が亡くなった。吉永さんもそういった要素を入れてほしいと望んでいたそうなんですが、実に見事に物語のなかに加えられている。突然なにかが舞い降りたかのように、イノさんが熱く語りだしていくことで、戦争の悲惨さが描かれています。田中泯さんのお芝居がとても生々しく、人々に大切なことを伝える力になっているなと思いました」と下町の歴史も映しだされたシーンとなった。


【写真を見る】故郷への想いを明かした大泉洋「北海道の人に恥をかかせたくない」
【写真を見る】故郷への想いを明かした大泉洋「北海道の人に恥をかかせたくない」撮影/黒羽政士

昭夫は故郷の風景に触れ、母とやり取りをしたり、お節介な近所の住人たちとにぎやかにおしゃべりをすることで、人生において大切なものをたしかめていく。彼のそんな姿を目にして、故郷に帰ってホッと一息つきたくなる人も多いはずだ。大泉にとっても故郷はいつも自分を励ましてくれる存在だそうで、「大泉洋と言えば、北海道。僕ほど、やたらと北海道と言いたがる人間も珍しい」と大笑い。「北海道の人に認めてほしいとか、北海道の人に恥をかかせたくないという想いが、僕を勇気づけてくれています」と愛情を傾けていた。

取材・文/成田おり枝


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