「べっぴんさん」から『ここさけ』へ。実力派・芳根京子を“強くしたもの”とは?|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
「べっぴんさん」から『ここさけ』へ。実力派・芳根京子を“強くしたもの”とは?

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「べっぴんさん」から『ここさけ』へ。実力派・芳根京子を“強くしたもの”とは?

2015年に公開され大ヒットを記録したオリジナルアニメーション映画を、フレッシュなキャストとスタッフで実写化した『心が叫びたがってるんだ。』が7月22日、公開初日を迎えた。

東京・TOHOシネマズ新宿で行われた初日舞台挨拶には主演の中島健人(Sexy Zone)、芳根京子、石井杏奈(E-girls)、寛一郎の4人と、熊沢尚人監督が登壇した。

初めの挨拶の際には、場内から寄せられた温かい拍手を前に、喜びがあふれてしまい、言葉に詰まりかけた芳根だったが「皆さんおはようございます。成瀬順役を演じさせていただきました芳根京子です」と満面の笑みで元気よく挨拶。

「今日初日をついに迎えることができました。これから皆さんに見ていただけるとのことで、嬉しさがいっぱいです。『ここさけ』の輪がこれからどんどん広がっていけるように私たちも頑張っていきたいと思います」と、久々の出演映画への強い意気込みを露わにした。

昨年10月から今年春にかけて放送されたNHKの朝の連続テレビ小説「べっぴんさん」でヒロイン役に抜擢され、名実ともに若手実力派女優の仲間入りを果たした彼女。20歳の誕生日に同作のクランクアップを迎えると、すぐさま本作の撮影に挑むため髪を30cmカットした。劇中ではボブカットの短いヘアスタイルだったが、撮影から4か月近くを経た今回の舞台挨拶では、すっかり肩まで伸びた髪を耳に掛ける仕草をたびたび見せる。客席をまっすぐ見つめる彼女の表情には、20代最初の大きな仕事を終えた安堵と、これから女優として大成していくことへの希望が溢れていた。

劇中では、おしゃべりが原因で両親が離婚してしまったことにより、言葉を封印されてしまう少女・成瀬順を演じる。喋ろうとすると急激な腹痛に襲われ、それを呪いだと諦めていた彼女は、地域ふれあい交流会というイベントでミュージカルを演じることになり、歌なら自分の気持ちを伝えることができると気が付く。さらに、初めてできた友人たちとの交流や、自分を勇気付けてくれる坂上拓実(中島健人)への切ない片思い。

作品の見どころを訊かれると、大きな声で「全部!」と叫び、場内からは拍手と歓声が湧きあがる。「本当に全部見てほしい。ミュージカルのシーンも見どころがたくさんあるので全部に注目して見てください」と楽しそうに語る彼女に、司会者が「特にどこか?」と訊ねると、再び「全部!!」とさらに強調。

序盤では台詞がほとんどなく、表情と動きだけで複雑な感情を表すという難しい役どころに挑んだ芳根。終盤のミュージカルシーンでは心の殻を破り、美しい歌声と踊りを披露するのだ。これまでは、初主演作となった連続ドラマ『表参道高校合唱部!』のように天真爛漫な少女の役や、『べっぴんさん』で演じた好奇心旺盛な女性など、とにかく明朗なキャラクターが多かった彼女。本作では彼女の新たな一面というより、その表現力の豊かさを再確認することができるだろう。

さらに、トークセッションの場で「自分を強くしてくれたもの」について訊ねられると、「(劇中で芳根が演じた)“順”です」と答える。「順が私を強くしてくれました。1か月ちょっとの撮影で、今まで感じたことのない感情がたくさん生まれて、こういう経験をすると、人は強くなるんだなと思った」と語った。今回の役を経たことで、芳根京子という女優の経験値は大きく突き抜けていくに違いない。【取材・文/久保田和馬】

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