皿洗いから、ハリウッド大作の主役へ!C・ノーラン監督『ダンケルク』の主役を射止めたシンデレラボーイとは?|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
皿洗いから、ハリウッド大作の主役へ!C・ノーラン監督『ダンケルク』の主役を射止めたシンデレラボーイとは?

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皿洗いから、ハリウッド大作の主役へ!C・ノーラン監督『ダンケルク』の主役を射止めたシンデレラボーイとは?

1940年、第二次世界大戦中の海の町・ダンケルクを舞台に、英仏軍40万、絶体絶命の撤退作戦を描く戦争大作『ダンケルク』が、9月9日(土)より日本公開となる。『ダークナイト』『インターステラー』など、イマジネーション豊富なフィクションを監督してきたクリストファー・ノーランが初めて実話を描くという事もあり、早くも話題になっている。

そんな本作には、ケネス・ブラナー、キリアン・マーフィー、トム・ハーディなど実力派俳優がズラリ集結。また、世界的人気を誇る音楽グループ“ワン・ダイレクション”のハリー・スタイルズが、本作で俳優デビューを飾っている。

その中にあって、多くの俳優が羨望するであろう主役を射止めたのは、なんと無名の新人、フィン・ホワイトヘッドだった。彼がノーラン監督の演出や、本作のテーマを語るインタビューを、映画の公開に先がけてお届けする。

『ダンケルク』を監督するにあたり、ノーラン監督は徹底的にリアルにこだわっている。実際にダンケルクの地で撮影を行うのはもちろん、1940年代に活躍した戦闘機を飛ばし、救出に向かった民間船や駆逐艦までも本物を調達した。ノーラン監督は、その中でも特に配役にはこだわったと語る。

「キャスティングは重要な要素だった。30歳の俳優が18歳を演じるような、ハリウッド式のキャスティングはしたくなかった。実際の戦地に送り込まれた18~19歳の役者を配役した方が、観客は差し迫る恐怖を感じ、青年たちに共感するはずだからね」。

「エージェントもついていない若手俳優をオーディションし、演じる役を交換して様々な組み合わせを試したんだ。その中で素晴らしい発見をした。驚くべき才能の新人だ」と、フィン・ホワイトヘッドを見出したオーディションを振り返る。

フィンは、1年半前までは皿洗いをしながらオーディションに通う“その他大勢”の1人に過ぎなかったが、本作のオーディションが彼の人生を劇的に変えた。

極力CGを使わず、生身の役者で戦地を再現するというノーラン監督のビジョンを実現するため、撮影準備は、非常に念入りに進められたという。役者たちの行った準備について、フィンはこう振り返る。「まず2週間前にダンケルクに入り、元軍人の人と一緒に訓練をしたんだ。その2週間は集中訓練のようだったよ。肉体的にも過酷な映画だからね」。

そうして迎えた撮影初日。フィンはその時の気持ちを「ワクワク、緊張、恐怖。この3つだね」と、はにかみ交じりで表現してくれた。

そして、映画の世界で彼を待っていたのは、ハリウッドを代表する監督の意外な姿だった。「僕を含め、皆がノーラン監督を天才だと思っているけど、彼の素晴らしさは才能を超越したところにあると思う。彼は、たとえ相手が100本の映画に出演していようと、演技経験がなかろうと、全員を平等に扱うんだ。対等に話すことができて、彼は“王様”ではないんだ」と、ノーラン監督のスタンスを語る。

撮影が進むにつれ、その過酷さは更に増していった。フィンが演じたトミーは常に水浸しで、お世辞にも暖かそうには見えない服装をしている。演じる役者たちはもちろん、スタッフさえも同じように寒さと闘いながらの撮影だった。そんな現場の中でのノーラン監督について、フィンは「ノーラン監督は人任せにせず、常に現場に立ち会うんだ。だから監督の指示に反応し、すぐに演じることができる。どこを切り取っても、型にはまらない撮影方法だったよ」と明かしてくれた。

トミーは、いつ襲いかかってくるか分からない敵に怯え、敵襲で溺れそうになり、火の海に囲まれながらも、仲間と共に生き抜くことを諦めない、強い意志を持った若者だ。同年代の、等身大のキャラクターを演じたこの経験は、フィンを大きく成長させたという。

この作品のテーマについて、フィンはこう語る。「戦争を切り抜けるためには、コミュニティの結束が必要だ。もし、この作戦がなければ世界は脅威を切り抜けられなかったかもしれない。家族や友人、地域社会と協力することの大切さを気づかせてくれたよ」。

本作への出演で、一躍スターの座に躍り出たフィンは、鮮烈な演技が高く評価され、今後の出演作が続々決定している。エマ・トンプソン共演の『ザ・チルドレン・アクト(原題)』は既に完成しており、現在は来年公開予定の『キャラバン(原題)』の撮影中だ。

ノーラン監督が見出したシンデレラボーイ、フィン・ホワイトヘッドが、リアリズムたっぷりに魅せる迫真の演技を、ぜひ劇場で体感していただきたい。【MovieWalker】

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