なんと34年ぶり!ライアン・レイノルズとブレイク・ライブリー、夫婦それぞれの主演作が北米ワンツーを達成

コラム

なんと34年ぶり!ライアン・レイノルズとブレイク・ライブリー、夫婦それぞれの主演作が北米ワンツーを達成

先週末(8月9日から11日)の北米興収ランキングではちょっと珍しい記録が生まれた。ライアン・レイノルズが主演を務める『デッドプール&ウルヴァリン』(日本公開中)が3週連続で1位を獲得し、それに迫るオープニング成績をあげてブレイク・ライブリー主演の『It Ends with Us』が2位にランクイン。周知の通り2人は夫婦であり、このように夫婦それぞれの主演作が興収ランキングでワンツーを飾るのは、ブルース・ウィリス主演の『ダイ・ハード2』(90)とデミ・ムーア主演の『ゴースト ニューヨークの幻』(90)以来、実に34年ぶりのこととなる。

『デッドプール&ウルヴァリン』は3週目末も好成績で見事にV3達成
『デッドプール&ウルヴァリン』は3週目末も好成績で見事にV3達成[c]Everett Collection/AFLO

さて、まずは『デッドプール&ウルヴァリン』の3週目の興行成績からチェックしていこう。週末3日間の興収は前週比55.5%の5377万ドル。これは公開3週目末の成績としては歴代12位の好成績で、マーベル作品だけに限定しても歴代6位。近年のマーベル作品特有の“初動型”で終わる可能性への警戒は、すでに解かれたと判断しても良いだろう。週末段階では北米累計興収4億9300万ドルを超えており、平日に入ってからそれは5億ドルに到達。全世界興収も10億ドルを突破したようだ。

一方、週末3日間で5001万ドルの興収を記録した『It Ends with Us』は、初日の金曜日やウィークデイのデイリー興収ではトップに立つ好調ぶり。女性客をメインターゲットにした作品の競合が少ないこともヒットの要因のひとつともいわれており、15日の木曜日までの公開1週間で北米累計興収は7378万ドル、全世界累計興収はすでに1億ドルを突破している。

同名ベストセラー小説を映画化した『It Ends with Us』が2位に初登場
同名ベストセラー小説を映画化した『It Ends with Us』が2位に初登場[c]Everett Collection/AFLO

ベストセラーを記録したコリーン・フーヴァーの同名小説(日本では「世界の終わり、愛のはじまり」の題で刊行されている)を『ファイブ・フィート・アパート』(21)のジャスティン・バルドーニが監督・出演を兼ねて映画化した『It Ends with Us』。父親による母親へのDVを見て育ったことでトラウマを抱えた女性リリー(ライブリー)は、ボストンで魅力的な脳神経外科医のライル(バルドーニ)と出会い恋に落ちる。しかし彼には秘密があり、リリーはやがて大きな選択を迫られることとなる。


「ゴシップ・ガール」で大ブレイクを果たして以降、同作のメインキャスト陣のなかでも頭ひとつ抜けた活躍を見せているライブリー。『アデライン、100年目の恋』(15)や『ロスト・バケーション』(16)、『シンプル・フェイバー』(18)と、これまでの主演作もまずまずの成績を収めてきたが、今作ではそれらを容易に上回ることに成功。しかも『デッドプール&ウルヴァリン』では声だけの出演も果たしており、同じく声の出演を務めた『ブルー きみは大丈夫』(24)も大ヒットを記録したばかりと、まさに絶好調期に突入したといってもいいだろう。

【写真を見る】「ゴシガル」のフィナーレから12年…ブレイク・ライブリーに新たな代表作が?ヒットの裏で思わぬ展開も
【写真を見る】「ゴシガル」のフィナーレから12年…ブレイク・ライブリーに新たな代表作が?ヒットの裏で思わぬ展開も[c]Everett Collection/AFLO

ところがその反面、この『It Ends with Us』のプロモーション中にバルドーニ監督との不和が噂され、作品テーマに対するライブリーの姿勢に原作ファンから疑問の声が上がるなど、順風満帆とはいかない状況に。同作の原作には続編があり、すでにそちらも映画化するのではという期待も寄せられているが、バルドーニ監督はプレミアの場で続投しない考えを述べ、「ブレイク・ライブリーが(続編の監督に)適任だ」と発言。ライブリーにとって新たな代表作獲得のチャンスと思われたが、なんとも雲行きが怪しくなっている。

そして、イーライ・ロスがメガホンをとり世界的人気ゲームを実写映画化した『Borderlands』は4位に初登場。こちらはオープニング3日間の興収860万ドルと不発に終わり、それ以上に批評家からの評判は壊滅的。2015年にプロジェクトが始動してからかなりの時間がかかり、3年前に撮影が終わってからも追加撮影が行われるなど紆余曲折があったことでも知られており、一部では主演を務めたケイト・ブランシェットがついにラジー賞候補になるのではと言われているようだ。


文/久保田 和馬

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