「第2回日本ホラー映画大賞」から約2年…『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』が東京国際映画祭でついに全世界お披露目!

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「第2回日本ホラー映画大賞」から約2年…『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』が東京国際映画祭でついに全世界お披露目!

現在開催中の第37回東京国際映画祭で10月30日、「アジアの未来」部門に出品されているホラー映画『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』(2025年1月24日公開)のワールドプレミア上映が開催。上映前の舞台挨拶に杉田雷麟と平井亜門、森田想のキャスト3名と、メガホンをとった近藤亮太監督が登壇した。

2025年1月24日(金)からの劇場公開も決まっている
2025年1月24日(金)からの劇場公開も決まっている

「第2回日本ホラー映画大賞」で大賞に輝いた同名短編を、近藤監督が自らの手で長編リメイクした本作。失踪した人を探すボランティア活動を行なう敬太(杉田)のもとに、ある日突然、母親から一本の古いビデオテープが届けられる。そこには、13年前に弟が失踪する瞬間が記録されていた。自分について回る忌まわしい過去を辿ろうとする敬太は、霊感を持った同居人の司(平井)と、敬太を追う新聞記者の美琴(森田)とともに、“山”へと向かうことに。

「日本ホラー映画大賞を受賞してから、この映画を作りはじめたのが去年の3月。そこから1年半以上をかけて今日という日を迎えられて、感無量です」と緊張の面持ちを浮かべる近藤監督は、「Jホラーを観て育ってきて、自分でも撮りたいと思ってこの映画を作りました。自分が子どもの頃に感じたような怖い気持ちを、この現代にあらためて味わっていただけたらうれしいです」とコメント。

【写真を見る】「静かに忍び寄ってくるホラー映画」「度を越した怖さ」キャスト陣が口々に語る
【写真を見る】「静かに忍び寄ってくるホラー映画」「度を越した怖さ」キャスト陣が口々に語る

主人公の敬太を演じた杉田は「幽霊を見るという芝居のリアリティは、僕自身(幽霊を)見たことがないのでわからなかったのですが、よくよく思い返せば芝居というもの自体、同じことを経験したからできるものでもない。現場で近藤監督と相談しながら演じていきました」と明かし、「この映画は映画館という環境で観るのが一番良いと思います。僕が台本を読んだ時に感じた気味の悪さを皆さんにも感じてほしいです」とアピール。

また、霊感をもった役を演じるために、オカルトネタを扱うYouTubeなどを役づくりの参考にしたという平井は「驚いたりするシーンでは過剰にならないように意識しました」と告白。同じように森田も「この映画自体が、脅かしたり派手な描写がない静かさが特徴の作品。その雰囲気を壊さないように気を付けながら演じました」と振り返り、「いままでホラー映画に関わらせていただくことが何回もありましたが、本作は度を越した怖さになっています…」とこれから作品を観る観客に呼びかけていた。

会場で映画を観ていた平井亜門もダッシュで駆けつける!
会場で映画を観ていた平井亜門もダッシュで駆けつける!

上映終了後には近藤監督が登壇してQ&Aも開催。「日本ホラー映画大賞」は大賞受賞監督に対して“受賞作の長編リメイク”か“オリジナル作品”での商業映画デビューを確約するのだが、前者を選択した理由をMCから訊かれた近藤監督は「他のアイデアも考えていたのですが…」と明かし、「そんな時に骨壷が不法投棄されたという新聞記事を見て、これが山に捨てられていたら神隠しの起こるような恐ろしい場所が生まれても不思議ではないと思うようになり、その瞬間に長編にできると確信しました」と説明。

また観客から、長回し撮影を多用した理由について質問されると「効率的な観点からも、実力のあるキャストの皆さんのお芝居を引き出す上でも効果的で、全体のムードも演出できるのではと考えワンカット撮影にしました」と明かす。その流れで、観客席で作品を鑑賞していた平井を壇上に呼びだした近藤監督。駆け足でやってきた平井は「僕も完成品を観て、長回しで撮っているなという印象を受けました。(長回しで撮られた)民泊のシーン、大好きです!」と朗らかに回答して会場中の笑顔を誘った。


最後は2人でツーショット撮影
最後は2人でツーショット撮影

その後も「俳優たちの起用の決め手」について、「大事にしていたのは佇まいで、ホラーとしてのリアリティを担保してくれる説得力や存在感を基準にキャストを決めていきました。すべて希望通りでした」と自信たっぷりに語る近藤監督。「撮影現場で気を付けていたことは?」という質問については「とにかく自分が本当に怖いと思えているかを問うことでした」と明かし、「現場も怖かったですか?」と近藤監督から訊ねられた平井は「すごく怖かったです。幽霊の残像のようなものをこうやって撮るんだと、発見だらけの毎日でした」と楽しそうに振り返っていた。

取材・文/久保田 和馬

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