超映画批評・前田有一、『ハガレン』曽利監督に「なんで日本人でやったんですか?」

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超映画批評・前田有一、『ハガレン』曽利監督に「なんで日本人でやったんですか?」

10月30日、第30回東京国際映画祭のセミナー形式のトークイベント・マスタークラスで『鋼の錬金術師』(12月1日公開)のイベントが開催され、曽利文彦監督と映画批評家の前田有一、フリーアナウンサーの松澤千晶が出席。原作の大ファンだという前田が「なんで日本人なんですか?」「アルフォンスの声は、なぜ釘宮理恵さんじゃないんですか?」と曽利監督に直球で質問をぶつけた。

荒川弘の人気コミックを実写映画化する本作。亡き母を生き返らせようとするが、人体錬成に失敗した兄・エドと弟・アルが、すべてを取り戻すために旅を続ける姿を描く。山田涼介が“鋼の錬金術師”の異名を持つ天才錬金術師のエドを演じる。

映画を観る前は「原作ファンなので不安ばかりだった。なんで(キャストが)日本人なんだろうと。予告を観たときも『これはエドワードというより、リョウスケ・ヤマダじゃないか。大丈夫か?』と」と疑問を持っていたことを明かし、会場の笑いを誘った前田。完成作を観て「悔しいことに、アクションシーンを観終わった頃にはだいぶ慣れちゃって。没頭しちゃった」と苦笑い。「ちょっと泣ける場面もあって、率直に言ってよかったです」と好感触であることを明かした。

しかしながら、前田は「どうして日本人のキャラクターなんですか?」とどうしてもキャスティングについて気になっている様子。直球の質問に曽利監督は笑いながらも、「『ハガレン』は日本人が描いた世界。もちろん背景や雰囲気はヨーロッパのものだけれど、ハートやソウルの部分は完全に日本人のもの」と胸の内を語る。

続けて「欧米の人と日本人では文化が違う。兄弟の考え方や関係性すら違う。『鋼の錬金術師』の兄弟関係は日本がベース。ハリウッドでもし作ったとしても、ガワはすごいものができてもハートの部分がズレてしまうと思う。日本人がやらないと難しい。日本語のセリフもナチュラル」と描かれるハートを大事にした上で、日本人のキャスティングにしたという。

これには前田も「確かにあの2人は、日本の下町の兄弟を見ているようなやり取りがある」と納得。さらに「アルフォンスはなぜ釘宮理恵さんじゃないんですか?」とアニメの声優を起用しなかったことについても質問。曽利監督は「釘宮さんがアルフォンスをやられると、やっぱりエドは朴ろ美さんでしょうとなる。セットですよね。片方が山田涼介で、片方が釘宮さんという組み合わせは辛い」とし、「原作がベース。アニメからの実写化ではないということで、また新しいイメージを作り上げていかないといけない」と熱を込めていた。【取材・文/成田おり枝】

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