佐藤健が土屋太鳳と紡いだ究極の愛「ただ待つのではなく、ラブシーンにしたかった」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
佐藤健が土屋太鳳と紡いだ究極の愛「ただ待つのではなく、ラブシーンにしたかった」

インタビュー

佐藤健が土屋太鳳と紡いだ究極の愛「ただ待つのではなく、ラブシーンにしたかった」

突然の病で昏睡状態となった恋人を待ち続け、過酷な試練を乗り越えた後、8年越しに挙式――。まさに奇跡的な実話を映画化した『8年越しの花嫁 奇跡の実話』(12月16日公開)でW主演を務めた佐藤健と土屋太鳳。

佐藤は本作のモデルとなった中原夫妻のドキュメンタリー映像や資料を見たり、夫妻から話を聞いたりして真摯にアプローチをしていった。

「『8年間どういう気持だったんですか?』とか、『どういう時がいちばん大変でした?』とか、僕なりに聞きたいことを尚志さんから聞かせてもらいました。そしたらドキュメンタリー映像を見た時に感じたこととぶれがなかったんです。トータルして思ったことは、尚志さんがすごく芯の強いしっかりした方だということでした。この人だからこそ、8年間待ち続けられたんだなと」。

土屋も「麻衣さんはすごく可愛らしくて女子力があるけど、豪快さも持ち合わせた素敵な方でした」と、麻衣さんに会った時の印象を振り返る。

「すごく愛情を受け取れる方で、そんな麻衣さんの魅力があったからこそ奇跡につながったんだろうなと。尚志さんが8年間……、何て言えばいいんだろう」と、途中で言葉を入念に選びすぎる土屋に、佐藤は「大丈夫。待つ体制はできているから。“8年”までだったら悩んでいい」と穏やかにツッコむ。

土屋はホッとした表情で「なんていうか、すべてのものが揃ってこの奇跡ができた。尚志さんも本当に笑顔が素敵な方なんです。その2人の良さが上手く合ったんだとも思います」と続けた。

杉本哲太や薬師丸ひろ子演じる麻衣の両親から「もう麻衣のことは忘れてほしい。あなたは家族じゃないから」と言われ、ショックを受ける尚志。佐藤はその言葉に納得しつつ、病院で麻衣に付き添っていく内に、演じる前にはなかった感情が芽生えていったことを明かす。

「尚志さんもおっしゃられていましたが、麻衣さんの回復を待たせてもらうこと自体が、そもそもありがたいことだったんです。自分はただ麻衣さんと一緒にいたいからそうしただけなんだけど、確かに相手のご家族からすれば迷惑かもしれないという気持ちになりました。外から見ると『8年待っていたなんてすごいね』と言われるけど、実際その場に立つとそうじゃなくて。尚志さんも言っていたように『自分は好きなようにさせてもらい、感謝している。待ちたいから待っただけ』だったと。今回演じてみて、なるほどと思いましたし、そっちの方が自然なんです。もっと言えば『8年間待った』という言葉さえ、僕の感覚とは違いました。毎日麻衣さんのところへ通い、もちろん意識はなかったのかもしれないけど、2人のつながりはずっとあったはずなんです」。

さらに佐藤は「意識不明の彼女のそばにいるシーンについても、僕はただ待っているシーンではなく、ラブシーンにしたかったんです。僕が映画の中で大事にしていたのはそこでした。ただ、ずっとそばにいたかったんです」とキッパリ言う。

キャッチコピーの「意識の戻らない恋人を、あなたは何年待ちますか」という質問を2人に投げかけてみたら、佐藤は「その質問に対しては明確な答えをもっています」と即答。

「尚志さんだから8年間麻衣さんを待っていたわけじゃなく、尚志さんと麻衣さんだったからこそ、8年間一緒に過ごせたんです。もしも自分がという話ではなく、自分と誰とならどうなのかという話だと思います。尚志さんも麻衣さんじゃなかったら、8年待っていなかったかもしれないし。パーソナリティの問題というよりは、2人のつながりの問題だと思います」。

土屋は「私も健先輩のおっしゃるとおりだと思います」と、佐藤の言葉にうなずく。

「もし、自分に同じようなことが起きたとしたら、私は待ち続けるだろうなと。自分が一緒にいたいからこそいたいと思うし、ある意味ずっと一緒に恋をしている状態というか。自分たちは、お芝居を通して愛情の大切さを実感しましたが、愛し続けたすべての時間が素晴しくて……」と言った後で言葉に詰まり「私もいつか健先輩みたいにお話するのがうまくなりたいです」と苦笑い。

佐藤は笑いながら「私だったら待ちます、でいいんじゃない?」と言うと、土屋は元気よく「私だったら待ちます。はい!」と締めくくった。

取材・文/山崎 伸子

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