『伊藤くん A to E』の岡田将生に木村文乃が「悲鳴が上がるような怖さがあった」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
『伊藤くん A to E』の岡田将生に木村文乃が「悲鳴が上がるような怖さがあった」

インタビュー

『伊藤くん A to E』の岡田将生に木村文乃が「悲鳴が上がるような怖さがあった」

柚木麻子の同名恋愛小説を実写映画化した『伊藤くん A to E』(2018年1月12日公開)で初共演した岡田将生と木村文乃。メガホンをとったのは、2人が心から信頼するという廣木隆一監督だ。イケメンだが自意識過剰な勘違い男“伊藤くん”と、毒舌な脚本家・矢崎莉桜として、真っ向から対峙する人物を演じた2人が、廣木組の現場を振り返った。

本作は、女子からするとかなり痛い男・伊藤くんと交流する5人の女の恋心や苛立ち、嫉妬、執着、優越感などを赤裸々に描いた恋愛ミステリー。ドラマ化もされた本作は、ヒリヒリとしたリアルな恋愛のやりとりが女子たちの共感を呼んだ。

岡田は共演してみて木村の印象が変わったそうだ。「最初は立ち姿がきれいで、凛としたクールなイメージがありました。あまりしゃべらなさそうな方だと勝手に思っていたんですが、けっこう話していただけて、良かったなとほっとしました(笑)。対峙する役でしたが、すごく安心感がありました」。

木村は、岡田が出演していた連ドラ「ゆとりですがなにか」が大好きで、作品から入っていったという。「私の中でベスト1のドラマなんです。酔っぱらいのシーンがすごく面白くて、この方とは仲良くなれそうだなと思いました(笑)。だから『はじめまして』という感じではなくて、勝手に親しみをもって接することができました」。

岡田は伊藤くん役については「本当に好きになれないキャラクターで、いまだにまったく共感はできないんです」と前置きをした上で「でも、演じていくうちに、伊藤は究極に純粋で子どもなんだと気づいたんです。そこからけっこうかわいいと思えるようになり、少しずつ伊藤のことが好きになっていきました」と徐々に伊藤くんを受け入れていったそうだ。

「ただ、共演した女優陣からは、毎回カットがかかるたびに『気持ち悪い』と言われ、その時は精神的に辛かったです。たとえそれが褒め言葉だったとしても」と苦笑いする。

木村は共演してから、岡田の役との絶妙なハマリ具合に思わずニヤついたとか。「岡田さんにはけっこうクリアで繊細なイメージをもっていたけど、こんなに攻めてくるんだなと思いました。現場では1シーンごとに悲鳴が上がるような怖さがありました。何を考えているのかわからなくて、ぞっとする感じ。ナイスキャスティングですね(笑)」。

廣木監督といえば長回しの演出で知られるが、岡田は毎回廣木組には緊張感をもって臨んでいるという。「今回もクランクイン当初は緊張していました。ただ、プレッシャーはあるけど、その分やりがいもある。やってやるぞ!と思える現場なんです。でも、今回は以前に比べ、何回もカメラを回すということは少なくなっていて、その分、1回目に集中することに重きを置かれていた感じがしました。初日に『あれ?OKがこんなに簡単にもらえたりするんだ!』と思ってびっくりしたくらいです」。

木村も同じことを思い、廣木監督自身になぜOK出しが早くなったのかを直接尋ねたそうだ。「そしたら廣木監督が『そう?俺はその時の演技全部を信じているから』とあっさりおっしゃったんです。完成した映画を観て、そのことが初めてわかりました。光の当たり方や、台詞の受け答えなどを見て、これだったのかと」。

木村は、廣木監督の演出について「廣木監督は頭の中に気持ちの完成図のようなものがあるんです」と分析。「そこにどう乗っかっていけるかということが大事で。決して言葉が多い監督ではないので、その気持を汲み取ってやっていくという暗黙のコンタクトを今回は強く感じました。また廣木組に呼んでもらえて本当に良かったです」。

岡田も廣木組について特別な思い入れがある。「『ああ“映画”だ』と思います。何だろう。演出や撮影の仕方も含め、とても映画的だと感じるんです。僕はこういう現場が好きだなあとつくづく思います」と至福の表情を見せた。

取材・文/山崎 伸子

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