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第63回カンヌ国際映画祭、前半の話題作を紹介!

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第63回カンヌ国際映画祭、前半の話題作を紹介!

映画祭も5日目。『ロビン・フッド』『ウォール街2』など大作アメリカ映画がひと通り上映を終え、帰り支度のプレス関係者も見かける。

さて、今回は前半の話題作をご紹介しよう。

映画祭には日報がつきもの。カンヌにも数種類あるが、なかでも「SCREEN」「FILM FRANCE」の2誌はカンヌ・プレスの必需品だ。この2誌には映画ジャーナリストたちの上映作星取り表が載っている。「SCREEN」には各国の映画雑誌の編集者や批評家が書き、「FILM FRANCE」にはフランスの映画雑誌や新聞・雑誌の映画担当者が書いている。だから2誌の星取り評価は微妙に違う。

5月16日現在、19本のコンペティション作品中6本が上映され、日報には昨日までの4本分の“下馬評”が載っている。それによると1番人気はマイク・リー監督の結婚と家族を描く『ANOTHER YEAR』で、これは2誌共通だ。2番人気は「SCREEN」ではイム・サンス監督がセレブ家庭に入ったメイドの悲劇を描くちょいエロな『THE HOUSEMAID』、マチュー・アマリック監督がバーレスク・ツアーを企画する落ち目のプロデューサーを自ら演ずる『TOURNEE』とが分け合っている。かたや「FILM FRANCE」では『TOURNEE』という結果に。『ANOTHER DAY』の評価は3.3点(「SCREEN」)、パルム5枚(「FILM FRANCE」)となっている。これは例年からしても良い得点で、最終審査に残る可能性が高い。といっても審査員次第の授賞なので、あくまで可能性にすぎないのだが。

ほかの部門やコンペ外の作品で話題になったのは監督週間のオープニングを飾った『ベンダ・ビリリSCREEN INTERNATIONAL(アフリカの身障者バンドを描いた作品)、特別上映『DRAQUILA L'ITARLIA CHE TREMA』(ラクイラ大地震で暴かれたベルルスコーニ政権の欺まんを描き、イタリア政府から上映を控えるように監督に圧力がかかったと言われる)という2本のドキュメンタリー。今年はドキュメンタリーの上映が多く、社会派からアートまで幅広いセレクションがおもしろい。

ある視点部門では101歳のマノエル・ド・オリヴェイラ監督、21歳のグザヴィエ・ドラン監督の作品が並び、それぞれ“らしい”内容に、観客から暖かな拍手が贈られていた。

ミッドナイト上映されたグレッグ・アラキ監督『KABOON』、ある視点部門の中田秀夫監督『CHATROOM』など、日本系監督の作品もなかなかの人気だった。明日17日に登場する北野武監督『アウトレイジ』(6月12日公開)で、どかんといってほしいものである。【シネマアナリスト/まつかわゆま】

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