『未来のミライ』に重ねた“自分の子どもの情景”とは?細田守監督がカンヌで語る!|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
『未来のミライ』に重ねた“自分の子どもの情景”とは?細田守監督がカンヌで語る!

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『未来のミライ』に重ねた“自分の子どもの情景”とは?細田守監督がカンヌで語る!

『未来のミライ』で初のカンヌ入りを果たした細田守監督と上白石萌歌に現地で直撃
『未来のミライ』で初のカンヌ入りを果たした細田守監督と上白石萌歌に現地で直撃

現在フランス・カンヌで行われている第71回カンヌ国際映画祭の「監督週間」で、現地時間16日に『未来のミライ』(7月20日公開)が初上映された。上映を終えた細田守監督に現地で取材を行った。いくぶん緊張が解けた感じで、にこやかに話してくれたロングインタビューを掲載。

『かぐや姫』も上映された監督週間に選ばれたことは光栄

「まさかカンヌ映画祭に来られることになるなんて、毛ほどの考えもなく始めた企画でした。以前アヌシー国際アニメーション映画祭に行った時に、『アヌシーはカンヌのアニメ部門が独立して出来たもの』と聞いていたので、カンヌは実写の映画祭だと思っていました。実はそんなことはなくて、作品の持つ力が優先で、技法は関係ないということのようです。それでもアニメが上映されることはほとんどなくて、よっぽどディレクターが気に入ってくれなければあり得ないことだと言われました。そんな流れの中で実写の作品の中に選ばれたということはたいへん光栄なことだと思っています。(高畑勲監督の)『かぐや姫の物語』も上映された監督週間ですし、大きな評価をいただいたのだと思うとうれしいと共に大きなプレッシャーを感じています」。

満席のうえ100名以上のお客さんが入れず入場規制まで行われたほどの大盛況!
満席のうえ100名以上のお客さんが入れず入場規制まで行われたほどの大盛況! [c]2018 スタジオ地図

「『未来のミライ』の海外セールス会社であるシャレードが応募したいなら準備すると言ってくれました。3月初めに(完成版の)4分の1くらいの映像を送ったら、出品することになり、締め切りまでに間に合わせなくてはいけなくなって大変でした。夏公開の作品なのでいつもならギリギリまで作っているところ進行を早め、3月にはアフレコをしましたが、ダビングはゴールデンウィークにやっていましたから。なにせ、スタッフ試写もやっていない。完成版を観たのは今朝のカンヌ上映が初めてという人ばかりってのも、すごいでしょう(笑)」。

自分の子どもの情景を見て、企画を作っていった

「今朝の上映は緊張しましたね。世界のジャーナリスト相手のものと聞いていたので一般のお客さんとは見方が違うと思って。でも、終わった時の拍手が大きかったし、温かかった。いまでもここにいることが不思議な感じがしています。いろいろな人が関わった表現の力がここまで連れて来てくれたという感じです」。

「この企画は3年前、下の子が生まれたことで始めた企画です。その時上の子が3歳で、その子がいまは5歳になっています。3歳の子どもが生まれたての赤ん坊を迎えてのリアクションがとてもおもしろくて、新鮮で。僕自身一人っ子だったので初めての経験なんですね、もう一人の子どもが急に現れるって経験が。それで、上の子が言ったことや、やったことをビデオや写真で細かく記録しておきました。その膨大な記録が発想や脚本、エピソードのもとになっています。子どものいる知り合いの話とかエピソードも入れています。嫉妬して新幹線のおもちゃでたたくシーンがあるんですが、ホントはそれどころじゃないですよ、目を突いてきますからね、指で(笑)。その辺は加減しつつ書いてます」。

「実はね、下の子の名前が未来っていうんですけれど、ある日上の子が言うんです、『大きな未来ちゃんに会った』って。『大きいっていうのは、巨大なの?お姉ちゃんになった未来ちゃんなのか?』って聞いたら、お姉ちゃんになった未来ちゃんだ、って言うんです。自分の子どもの情景を見て、やり取りを重ねて企画を作っていきました。それがね、脚本を書いていくと、今度は自分が子どもだった時の感情が甦ってくるんですよね。自転車に初めて乗れた時の気持ちとか…。そういうものも入れながら書いていきました。ちなみに、上の子に主題歌を聴かせたら『いいんじゃない』だって、生意気に(笑)」。

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