ここが変だよゲティおじいちゃん!家族よりも金を優先する大富豪の人生哲学
人を愛することができない、ゲティの悲しい人生
そう、ゲティは5度の結婚で生まれた5人の息子たちを甘やかさず、自分と同じように「働いて金を稼ぐ」ことを期待した。しかし、家庭よりビジネスを優先した父親の教えは息子たちに届くことなく、彼らは早世、自殺、酒とドラッグに溺れるといった不幸に見舞われた。そんな家族への不満もあってか、ゲティは1976年にガンで亡くなるまで21回も遺言を書き直し、艶福家としても名を馳せた彼らしく遺言書には12人の女性の名前が記載されていたという。しかも、その莫大な財産の大半はゲティ美術館へ相続と明記されていたのだから遺族たちからの不満は続出。
ということで、最期まで人を愛せない悲しい人生だったのかもしれないと思えば、本作で描かれるゲティの奇行の数々も趣が違って見えるはず。ちなみに、誘拐事件で人質になったジョン・ポール・ゲティ3世の息子で俳優のバルサザール・ゲティは、家族の不幸の歴史を痛感したのか、「僕にとっては、お金は幸せを呼ばない」とあるインタビューで語っている。
文/金子裕子
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