「ポプテピピック」の神風動画に潜入!監督の難題を『ニンジャバットマン』スタッフはどう乗り越えた!?
タイムスリップシーンにも秘密が!
――もっとも苦労されたシーンはどこでしょうか?
高木「映画の冒頭、タイムスリップして日本に転送されるところですね。絵コンテでは空間がゆがみ建物がねじれて変形するんですが、具体的にどう絵にしたらよいか悩みまして。打合せの中で水﨑監督から、建物を材質で分けるアイデアが出たんです。ガラスや鉄、石、木など建物の素材が、遠心分離されたように分かれていく」
水野「最初のアニメーションの段階では、単に建物が歪んでできたグニャグニャした棒があるだけで、そこをバットマンが走っているだけでした。分離する要素を加えたことで、仕上がりはまったく変わりましたね」
高木「それと調整に苦心したのが、水﨑監督から全体に絵をパンフォーカス(近くから遠くまでピントが合った状態)にして欲しいと言われたことです。通常はメインの被写体にフォーカスを合わせ、前景や背景はピントをぼかします。今回はコミック的な絵にしたいということでした。ボケが入ると立体感が出て絵としてはリッチに見えますが、アメコミ的なところから外れてしまう。ただし、どうしてもボケを入れないと違和感が出るところもあるので、その調整には気をつけました」
――最後に『ニンジャバットマン』に参加した感想をお聞かせください。
水野「神風動画として初めての長編ということで、それが最大のチャレンジでした。短編をやっている時は力技でなんとかできていましたが、長編となるとそうはいかない。細かく計画を立て、それをどう管理するかが大変でした」
高木「水﨑監督の思いでもあるんですが、ルックへのこだわりはすごく感じました。アメコミが原作なので、それに沿った形にしつつきちんと日本的テイストに落とし込む。それらを両立しながら、斬新な絵であるべきという目標に向かって試行錯誤を重ねる日々でした。ギャグ描写も多いんですが、遊びの部分も含め本気で突き詰め、そこに神風動画さんらしいかっこよさが加わるとこれだけすごいものになる。そんな部分を味わってもらえたらうれしいですね」
85分間の本編に詰め込まれた、アニメーション制作スタッフの技と知恵と工夫を明かしてくれた高木パート監督、水野CGI監督。既に本編を鑑賞した人も、この舞台裏を知ったらもう一度本編を観たくなるはず!まさに“「ポプテピ」のように二度楽しめる”『ニンジャバットマン』の奥深さを、ぜひ劇場で確認してほしい。
取材・文/神武団四郎、トライワークス