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『ジュラシック・ワールド/炎の王国』J・A・バヨナ監督が明かす、“悪夢”へのこだわり

インタビュー

『ジュラシック・ワールド/炎の王国』J・A・バヨナ監督が明かす、“悪夢”へのこだわり

今年で誕生から25周年を迎える「ジュラシック」シリーズの新章2作目となる『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(7月13日公開)。前作のコリン・トレボロウ監督に代わり、本作でメガホンをとった俊英J・A・バヨナ監督に本作に込めたこだわりを聞くと、いま最も旬な監督からのサポートがあったことを明かしてくれた。

『ジュラシック・ワールド/炎の王国』に大抜擢!J・A・バヨナ監督にインタビュー
『ジュラシック・ワールド/炎の王国』に大抜擢!J・A・バヨナ監督にインタビュー写真:奥野和彦

前作でT–レックスとインドミナス・レックスとの激闘の末に崩壊してしまった“ジュラシック・ワールド”があるイスラ・ヌブラル島に、火山の大噴火という危機が迫り来る。島に取り残された恐竜たちを救うために、オーウェンとクレアは島に向かうのだが、そこで彼らは人間たちのある恐ろしい陰謀を知ることとなる。

シリーズの1作目『ジュラシック・パーク』(93)が公開されたころ、カタルーニャの映画学校に入学したばかりだったというバヨナ監督。「大ファンだったスティーヴン・スピルバーグとマイケル・クライトンがタッグを組むと知って、ものすごく期待して観に行ったんだ。これまで観てきた映画では味わえなかったリアルな視覚効果に驚きを感じたよ」と、シリーズとの出会いを振り返る。

長編監督4作目で一躍世界的ヒットメーカーに!
長編監督4作目で一躍世界的ヒットメーカーに![c]Universal Pictures Credit: Glles Keyte

デビュー作『永遠のこどもたち』(07)で高い評価を得たバヨナ監督は、続く『インポッシブル』(12)で実話を基にした感動作に挑戦。そして『怪物はささやく』(16)で再び十八番とも言えるダークファンタジーに回帰。

「映画を作るたびに同じプレッシャーを感じてきたけれど、本作に関しては作る前から周りの期待がすごく大きい。だからプレッシャーもいままで以上だったよ」。そう語るバヨナ監督は、前作ではあまり描かれなかった、本シリーズの醍醐味の一つでもあるダークな要素を積極的に取り入れることで、自身が得意とするタイプの作品へと上手く引き寄せたのだ。

「トレボロウの書いた脚本を最初に読んだ時、すごく楽しいコンセプトだと感じたんだ。ロックウッド邸という舞台設定に、狭いところに閉じ込められる恐竜たち。シリーズ1作目でスピルバーグ監督が取り入れたヒッチコック的なサスペンス要素を、よりダークな雰囲気で表現できると考えたんだ」と、バヨナ監督は自信たっぷりに語る。

「その中でも、特に私がこだわったのは、メイジーの描き方だよ」と、本作の鍵を握る少女の存在を明言。「まず彼女がロックウッド邸にいる様子を、高い塔にいるお姫様のようなフェアリーテイル調に描いた。そこに“怪物”が窓から近づいてくる。自分が子どものころから見ていた悪夢にインスパイアされて、ずっと実現したかったシーンなんだ」と、ダークファンタジーの要素をいかんなく取り入れたことを明かした。

バヨナ監督が幼少期に見た“悪夢”を再現した場面。恐ろしい…
バヨナ監督が幼少期に見た“悪夢”を再現した場面。恐ろしい…[c]Universal Pictures

また、エンドクレジットには<感謝>として、ギレルモ・デル・トロの名前がクレジットされている。「ギレルモは製作総指揮を務めてくれた『永遠のこどもたち』から、すべての作品に協力してくれている」と、長年にわたりサポートを受けてきたことを明かす。そして「製作していくなかで、なにか疑問があると彼に電話するんだ。この作品の世界観はどういう風にすればいいかとか、どういうプロセスで進めて行けばいいかとか、感じたことすべてをね(笑)。特に今回はハリウッドの作品だから、すでにハリウッドで活躍している彼にはとても力になってもらったんだ」。

『シェイプ・オブ・ウォーター』(17)で第90回アカデミー賞監督賞を受賞し、いま世界中で最も注目を集めているデル・トロ監督。その力添えによって一躍ヒットメーカーの仲間入りを果たしたバヨナ監督が、今後どのような作品を生み出してくれるのか期待は高まるばかりだ。

取材・文/久保田 和馬

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