渡辺大の目力に惚れ込み“追加撮影”まで敢行。「目指したのは“極道”の目」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
渡辺大の目力に惚れ込み“追加撮影”まで敢行。「目指したのは“極道”の目」

インタビュー

渡辺大の目力に惚れ込み“追加撮影”まで敢行。「目指したのは“極道”の目」

渡辺大の主演作『ロストクライム 閃光』(7月3日公開)は、三億円略奪事件という世紀の完全犯罪の闇をえぐり出した意欲作だ。彼は男くさい若手の熱血刑事・片桐に扮し、古参刑事役の奥田瑛二と初共演。クライマックスでは、持ち前の“目力”を発揮しているが、なんとあのシーンは、後から追加で撮影したものだという。その裏話から、彼が“取材好き”だというエピソードまで、渡辺大の口から語ってもらった。

完成披露舞台挨拶では、奥田瑛二から、「父親そっくりで最初は気持ちが悪かった」と言われていた渡辺大。確かに、正統派二枚目で長身という恵まれたルックスに、響きのいい声を聞くと、大スター・渡辺謙の遺伝子が息づいているのがわかる。そんな彼の目力が、ある後半のシーンで最大限に発揮されているのだ。

「自分自身では、目力なんてわからないんですよ。眉間にシワがよってるだけじゃないかと思ったりするんですが」と笑いながら語る渡辺。続けて彼は言う。「実はあのシーンは、撮影が終わってから、改めて撮ったものなんです。引きの画で終わりにしていたんですが、伊藤(俊也)監督から『もうひとつ、アップを押さえておけばよかった』という話になって。それで別に“寄り”を押さえることになったんです」。

そのシーンは後半の見せ場のひとつだが、伊藤監督もここで彼の目力で場面を締めたいと思ったに違いない。「いや〜、でも大変でした。撮り直しってことで、皆さんが終わった中で、ひとりでにらんでる状態だったから(笑)」。

渡辺自身は、自分の目力をこう表現する。「目力と言われても、難しいんです。僕自身は自分の目に迫力はないと思っているので。というか、極道の人たちが見せる殺気のある目ってすごいと思うんです。人を殺す目というか、僕が目指しているのはあれですね」。

目の演技について彼がさらに目指すところとは。「目で語ることは、すごく重要なパートとしてあるので、今後もっとバリエーションを増やしていきたいです。『にらみつけただけで、おしっこちびりました』みたいな、そういうところまでいく余地はいっぱいあるなあと。毎日の積み重ねだと思うんですが、いかにそれをきれいに鋭く研いでいくかが、今後の自分のテーマなので、精進していきたいです」。

ちなみに、投げた質問に対して熱心に語ってくれる彼の姿勢は実にありがたいが、どうやら彼は“取材好き”らしい。その理由を聞いてみたら、彼の誠実な人柄が伺えた。「こうやってできた映画に対して、取材をしてもらっている時が一番嬉しいんです。作品を作っただけではなく、たくさんの人に見てもらいたいという気持ちがないと、せっかくの集団創造の作品に申し訳ないと思うんです。 だから僕は、いろんな方々に取材をしてもらうのが大好きです」。

ここまで「取材好き」と断言してくれる俳優も珍しい。父親ゆずりのルックスと才能はもちろん、人間としての気持ちいい人柄も加われば鬼に金棒。彼の未来は、未知数に広がっている気がする。【Movie Walker/山崎伸子】

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