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大反響のNetflixドキュメンタリーと、カート・ラッセルの意外な関係

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大反響のNetflixドキュメンタリーと、カート・ラッセルの意外な関係

Netflixのドキュメンタリー・シリーズ「ワイルド・ワイルド・カントリー」が、第70回エミー賞5部門にノミネートされ、米国内でさらなる注目を集めている。

6話構成の同作は、Oshoという名で知られるインド人思想家のバグワン・シュリ・ラジニーシと、その宗教団体の驚異的な成功と破滅を描いた作品。ラジニーシの信仰者達は80年代にオレゴン州ワスコ郡の荒野”ワイルド・ワイルド・カントリー”に巨大な理想郷を建設。それにより地元住民との摩擦が発生し、政府からも圧力をかけられた。ラジニーシとその信仰者達は全米を揺るがすスキャンダルを数々と引き起こし、頻繁にニュースで取りあげられていた。

それから30年以上経ったいま、この忘れかけられたアメリカの歴史が「ワイルド・ワイルド・カントリー」によって蘇り、現代の若者たちの関心を集めているのだ。

本作の製作総指揮は俳優のマーク・デュプラスとジェイ・デュプラス。監督はマクレイン&チャップマン・ウェイ兄弟。実はウェイ兄弟は俳優カート・ラッセルの甥っ子だ。カートはラジニーシが全米を騒がせた80年代の出来事を、昨日のように覚えているそうだ。ラッセルは「僕は当時ちょうど(オレゴン州)ポートランドにいたんだ。だから(甥っ子達が)この映画の企画を話しはじめた時には、”ああバグワン!いたよね”って思い出したよ」と米バラエティ誌に語った。

このドキュメンタリーの反響を受け、本作には映画化の企画も持ちあがっているという。映画版の具体的な製作予定はまだないそうで、ウェイ兄弟は「もうこのドキュメンタリーに僕たちは4年間も費やしたから、僕らは次のプロジェクトに移るよ」としつつも、「でも誰かが映画化したいなら是非やってほしい」と期待を述べた。

マークは、映画版ではバグワンをキーガン=マイケル・キーに、ラジニーシの敏腕秘書のマ・アナンド・シーラは『オーシャンズ8』(18)のミンディ・カリングに演じてほしいそうだ。マ・アナンド・シーラは、バグワンのためならば危ない橋も躊躇せずにわたる強い女性で、同団体のために遂行したバイオテロの殺人未遂で29か月も連邦刑務所に収容された人物だ。

マークは「皆ミンディをスイートな女優として知っているが、彼女はとても強い女性だ。一緒に撮影現場にいたことがあるから知っている。それをみんなに見てもらえたら面白いと思うよ」と説明した。

「ワイルド・ワイルド・カントリー」は、作中でバグワン・シュリ・ラジニーシの思想や教えなどは深く説明していない。あえてそうしたことで宗教やスピリチュアルといった題材が苦手な観客にも、バイアスなく理解できる作品に仕上がっているのだ。

映画とテレビを評価統計するサイト「Rotten Tomatoes」では、公開から約6か月経った現在も98%という高いスコアを維持しており、RogerEbert.comの評論家のニック・アレンも、本作を「善と悪の複雑な定義を観客に問いかける、奥深く魅惑的な作品」と絶賛している。本作を視聴していない方は、エミー賞の前に是非チェックしてほしい。

LA在住/小池かおる

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