レイフ・ファインズ、次回の監督作では「監督に専念したい」
第31回東京国際映画祭で、名優レイフ・ファインズが、コンペティション部門『ホワイト・クロウ』の監督として来日。本作が10月27日にEXシアターで上映され、レイフがティーチインに登壇した。
本作は、キーロフ・バレエのソリスト、ルドルフ・ヌレエフの半生を映画化した物語。型破りの技術と激しい気性のヌレエフが才能を開花させていく姿と、ソ連からの亡命劇をスリリングに描く。
レイフは映画の題材にヌレエフを取り上げた理由をこう語った。「ヌレエフが若い時代に、アーティストとして、人間として、自己実現をしたいという欲望を持ち、そのダイナミックで生き生きとした精神に感動しました。彼は時に人を怒らせても、リスクを背負っても、ダンサーとして完璧を目指していた。冷戦やイデオロギーが背景にあるなかで、一人の人間として自由を獲得するのは、本当に勇気のある行動だと思いました」。
主人公・ヌレエフ役には、現役ダンサーのオレグ・イヴェンコをキャスティングした。「演技ができるダンサーが欲しくて、ロシア中でオーディションをしましたが、オレグには最初の段階から注目していました。こういう伝記映画を作るにあたり、顔が似ているかどうかという問題があるが、彼はヌレエフにかなり近い顔をしていました。一番大きかったのは、彼に演技の才能があったということです」。
本作は『英雄の証明』(11)、『エレン・ターナン ~ディケンズに愛された女~』(13)に続いてレイフの監督3作目となり、彼は製作、監督、出演と三足のわらじを履いた。「僕は監督としてまだまだ勉強している段階です。この先、もう一本監督作を手掛けることがあれば、自分は出演せず、監督に専念することが夢なんです。今回は予算的な理由で出演し、すばらしい才能のある俳優さんやスタッフに恵まれましたが、次回は監督だけをやりたいです」と語った。
取材・文/山崎 伸子