世界が注目する細田守監督&堤大介監督が対談!「アニメーションには可能性がいっぱい」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
世界が注目する細田守監督&堤大介監督が対談!「アニメーションには可能性がいっぱい」

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世界が注目する細田守監督&堤大介監督が対談!「アニメーションには可能性がいっぱい」

現在、EJシアター新宿で開催されている「トンコハウス映画祭」で17日、「世界のアニメーションの魅力」と題したスペシャルトークイベントが行われ、第91回アカデミー賞長編アニメーション賞にノミネートされた『未来のミライ』(18)の細田守監督と、本映画祭をプロデュースするアニメーションスタジオ「トンコハウス」の設立者である堤大介監督が登壇した。

【写真を見る】アカデミー賞会員の2人がアニメの未来を語り合う!
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「トンコハウス」はピクサーのアートディレクターだった堤とロバート・コンドウの2人が設立。第1回作品である『ダム・キーパー』(14)は第87回アカデミー賞短編アニメーション賞にノミネートされるなど世界中で高評価を獲得した。今回の「トンコハウス映画祭」では堤とコンドウの2人にインスピレーションを与えた名作から現在世界中で注目されているアニメーション作家の作品まで、世界中から集められた20作品のショートアニメが上映されている。

堤監督がまだピクサーの社員だった時代に『おおかみこどもの雨と雪』(12)をピクサーの社員に向けて上映するため、同社を細田監督が訪れたことをきっかけに交流がスタートしたという。「ピクサーには映画好きな人間が揃っていて、みんな映画に厳しいので、日本人としてちょっとナーバスだったのですが、みんな大絶賛でした」と当時を振り返りながら、うれしそうな表情を見せる堤監督。「ピクサー作品とだいぶ違う作品だっただけにとてもうれしかった」とにこやかに語る細田監督は、その際に行なった質疑応答の場で堤監督から「自分の作品を作りたいという気持ちが伝わってきた」そうで、「作品を作りたいやつが作るべきだ、とその時言った。それを言って生まれたのがあの『ダム・キーパー』。それが僕の自慢ポイントです」と満足げ。

細田守監督が「トンコハウス映画祭」のスペシャルトークイベントに登場!
細田守監督が「トンコハウス映画祭」のスペシャルトークイベントに登場!

さらに細田監督は「2016年の夏頃だったと思います、堤さんがひょっとしたら手伝ってくれるかもというムードがあったので、『駅、興味ありますか?』と話をしたんです」と『未来のミライ』の制作にあたって堤監督にオファーをしたことを明かす。「それが僕の“細田自慢”なんですけど、ちょうど僕らがトンコハウスを始めたばかりで残念ながらできなかった。アカデミー賞にノミネートされたことで、さらに後悔に…」と吐露する堤監督に細田監督は「また一緒にやることがあるかもしれないし、きっかけを見つけられたらいいな」と、タッグ実現に意欲的な様子をのぞかせていた。

またこの日はトークイベントの後に、本映画祭で上映される作品の中から細田監督がセレクションした6作品が上映されるとのことで、細田監督はそれぞれの作品の魅力について解説。細田監督がセレクトしたのは『父と娘』(00)、『マイ・ムーン』(18)、『木を植えた男』(87)、『ダム・キーパー』、『ウィークエンド』(18)、そしてトンコハウスの新作のテスト版である『ONI (仮)』(19)の6作品。『ONI (仮)』について細田監督は「堤さんの作品と立体アニメーションとの親和性がめちゃくちゃ高いなと思いました。世界観的にも、立体アニメーションの質感と堤さんの世界がすごく馴染んでいて自然。完成版を楽しみにしたいです」と期待を寄せた。

『ダム・キーパー』でアカデミー賞短編アニメーション賞にノミネートされた堤大介監督
『ダム・キーパー』でアカデミー賞短編アニメーション賞にノミネートされた堤大介監督

その後、再び『未来のミライ』についての話に戻ると細田監督は「アメリカでは『未来のミライ』のような作品は評価されないだろうと思っていたが、評価されていたということをゴールデン・グローブ賞の時に初めて知りました」と照れくさそうに述懐。アカデミー賞にノミネートされたことをきっかけに、今後さらに世界的な注目を集めることについて訊かれると「自分が身近で感じていることを勇気を持って堂々と作ることがインターナショナルな世界でちゃんと見てもらえる資格がある作品にするためのポイントだと考えています。自分の感じていることや日常とか、人生の中で取るに足らないと思っちゃうことが、実は価値があるんだと自信を持つことが大事なんだと思います」と語った。

さらに観客から「(作品を作り続ける)モチベーションを維持するコツは?」と質問が寄せられると、しばし考え込んだ細田監督は「世の中にはものすごく作品があふれてるけど、まだ作られてない面白い作品がある。やり尽くされてるように見えてやり尽くされてない。特にアニメーションではたくさん実験することがまだ為されていなくて、作ってみたら面白い作品になる可能性がいっぱいあるから、作品を作って『もういいや』て気分にはならないですね」と回答。堤監督も「アニメーションにはたくさんの可能性がある」と、子どもたちや未来のためにできることがたくさんあると熱弁。世界中が注目する2人が、今後どんな作品を発表していくのか期待は高まる一方だ。

「トンコハウス映画祭」は5月26日(日)までEJシアター新宿で開催されている。上映スケジュール等の詳細は公式ホームページを確認してほしい。

取材・文/久保田 和馬

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