【連載】『南沙良の 映画と小惑星ふたつぶんくらいの愛』第6回 今月のテーマ:ワル|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
【連載】『南沙良の 映画と小惑星ふたつぶんくらいの愛』第6回 今月のテーマ:ワル

コラム

【連載】『南沙良の 映画と小惑星ふたつぶんくらいの愛』第6回 今月のテーマ:ワル

16歳の演技派、南沙良が「DVD&動画配信でーた」にて「南沙良の 映画と小惑星ふたつぶんくらいの愛 いよいよ壁がなくなるぞー!のテンションで映画を観る」を好評連載中。毎回ぱっと思いついたテーマをもとに、編集部がセレクトした映画を鑑賞。ときに趣味や普段の生活などの話題に脱線しつつ、彼女の素顔が垣間見えるような内容になっている。第6回のテーマは、最近ちょっとした憧れを抱いているという“ワル”。だけど選んだ映画『トレーニング デイ』(01)はコレじゃない感MAXだったらしく…。

「私がイメージしていたワルはもっと、可愛くて優しくて、ママ大好きなんです!」

南沙良、連載第6回のテーマは“ワル”
南沙良、連載第6回のテーマは“ワル”撮影/杉映貴子 ヘアメイク/藤尾明日香 スタイリスト/武久真理江 衣装協力/HATRA Johnbull atelier brugge

――16歳女子が観るにしては渋めの映画でしたね(笑)。

「予備知識なく観始めたので、普通のバディ・ムービーだと思っていたら、途中からアロンゾに対する不信感しか(笑)」

――それまで正義漢ばかり演じていたデンゼル・ワシントンが、今作でガッチガチのワル、アロンゾを演じて第74回アカデミー賞主演男優賞を受賞しました。

「アロンゾがあまりにも横暴でびっくりしたんですけど、そこには深い理由がありそうだとちょいちょい匂わせるじゃないですか、色んなセリフで」

――アロンゾの古い知り合いが、正義に燃えるアロンゾの部下、ジェイク(イーサン・ホーク)を指して「昔のあんたに似てる。ひとりで世界を救う気でいる」と言っていたり。

「だから、どこかで改心するのかなと思いきや、最後の最後までダメ(笑)」

――一応、アロンゾが養う家族のような存在の描写もありましたね。

「だから彼にも良心があるんだと信じたくて、頑張って同情できるところを探したんですよ。ジェイクが怒ってアロンゾに銃を向けるシーンがあるじゃないですか。その時、アロンゾの悪い仲間たちがジェイクに一斉に銃を構えると、アロンゾはみんなを説得して銃を降ろさせる。ジェイクの真っ直ぐな目に、アロンゾは昔の自分を見たのかな?と思いたかったんですけど…。そうだとすると色々とつじつまが合わないので、同情は断念しました(笑)。そもそも私、最初のほうからアロンゾがなんか受け付けなくて」

――どのあたりが?

「レイプ犯を発見したジェイクがすごく品のある捕まえ方をしたのに、アロンゾはその犯人からお金を取って逃しましたよね。それに反発するジェイクに『お前は間違ってない』『昔の純粋だった俺を思い出すぜ』みたいな空気を醸し出してくる。あの辺が…。というか、私が元々イメージしてた“ワル”は、あんなんじゃありません!(笑)」

【写真を見る】ロス市警麻薬捜査課のベテラン刑事の“裏の顔”を描く『トレーニング デイ』
【写真を見る】ロス市警麻薬捜査課のベテラン刑事の“裏の顔”を描く『トレーニング デイ』写真/Everett Collection/AFLO

――どんなイメージだったんですか。

「可愛らしい感じの“不良”です。すごいヤンキーというよりは、家族に優しくて、ママ大好きな」

――ママ大好き…それってワルですかね…?

「理想は、私が読んでる『そうしそうあい』という少女マンガの主人公、そうし君です。金髪のヤンキーで乱暴も働くけど、両想いのめぐみには一途で可愛い。めぐみは真面目な子だけど大胆なので、そうし君は振り回されるんです」

――アロンゾからはあまりにも遠い…。ところで、ジェイクはアロンゾに陥れられてワルの巣窟に置き去りにされます。あれはLAの実際のストリート・ギャングがいる地区で撮影されたそうですよ。

「絶対、迷い込みたくないですね。私、幸運なことに怖い場所に迷い込んだことも、お金を取られたこともないんですが、ちょっとだけワルの世界に憧れがあるんですよ。一時期、兄がグレてたことがあったんです。私が小学生の時に兄は高校生で、たまに外でケンカして帰ってきました」

――お兄さん、ご両親とは衝突しませんでしたか。

「意外と受け入れてましたよ。家族と仲が良かったので、荒れてなかったんです(笑)」

――南さんの“ワル”のイメージ、完全に間違ってますよ!

“ワル”のイメージは可愛くて優しくて、ママ大好き…?!
“ワル”のイメージは可愛くて優しくて、ママ大好き…?!撮影/杉映貴子 ヘアメイク/藤尾明日香 スタイリスト/武久真理江 衣装協力/HATRA Johnbull atelier brugge

写真&ひとこと:傷みかけのいちごってほぼジャム。

夏の訪れを感じる夕焼けどきのひとコマ
夏の訪れを感じる夕焼けどきのひとコマ

もうすぐ夏がくるのに、去年の夏のことが全く思い出せない私です。ただ、なんとなくでしまい込んだことも、整理しなきゃと思ってはいたけれど動かぬまま1年が経ってしまったことは確か。思い出と荷物だけが増えた。気がする。。夏、苦手だなぁ。

取材・文/稲田豊史

●南沙良 プロフィール
2002年6月11日生まれ、神奈川県出身。第18回ニコラモデルオーディションのグランプリを受賞し、同誌専属モデルに。女優としては、映画『幼な子われらに生まれ』(17)に出演し、デビュー作ながらも、報知映画賞、ブルーリボン賞・新人賞にノミネート。その後、行定勲が監督を務めたロックバンド・レベッカの17年ぶりの新曲「恋に堕ちたら」(17)のMVに主演。映画初主演作『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(18)では、第43回報知映画賞、第61回ブルーリボン賞・新人賞、第33回高崎映画祭・最優秀新人女優賞、第28回日本映画批評家大賞・新人女優賞を受賞し、その演技力が高く評価される。2月8日公開の映画『21世紀の女の子』(19)、現在公開中の映画『居眠り磐音』(19)にも出演。8月24日公開『無限ファンデーション』(19)、来春公開『もみの家』(20)の2本の主演映画が控える。1月に放送された、第30回フジテレビヤングシナリオ大賞・大賞受賞作『ココア』(フジテレビ系)ではドラマデビュー&初主演。またモデルとしても、「NYLON JAPAN」「GQ JAPAN」「ELLE Japan」「装苑」などの、数多くのファッションメディアに出演している。江崎グリコ「ポッキー」イメージキャラクター。

南紗良の連載「南沙良の 映画と小惑星ふたつぶんくらいの愛 いよいよ壁がなくなるぞー!のテンションで映画を観る」は、「DVD&動画配信でーた」にて好評連載中!


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