“頭から離れない”珠玉の1曲「ホール・ニュー・ワールド」 アラン・メンケンが誕生秘話明かす|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
“頭から離れない”珠玉の1曲「ホール・ニュー・ワールド」 アラン・メンケンが誕生秘話明かす

インタビュー

“頭から離れない”珠玉の1曲「ホール・ニュー・ワールド」 アラン・メンケンが誕生秘話明かす

来日したアラン・メンケンにインタビュー!
来日したアラン・メンケンにインタビュー!

ディズニーの名作アニメを実写映画化した『アラジン』(公開中)。貧しくも清らかな心を持つ青年アラジンと自由に憧れる王女ジャスミンの物語を、永遠に人々の心につなぎとめているのは「ホール・ニュー・ワールド」をはじめとする名曲の数々でもある。同曲を聴くだけで彼らが魔法のじゅうたんに乗って夜空をかけている姿が思い浮かぶが、作曲を手がけた巨匠アラン・メンケンも「『ホール・ニュー・ワールド』はかなり特別な1曲になると思った」と誕生の瞬間を振り返る。珠玉の1曲はどのように生まれたのか?来日したメンケンを直撃した。

【写真を見る】魔法のじゅうたんに乗って夜空をかける!ロマンチックなシーンに胸キュン
【写真を見る】魔法のじゅうたんに乗って夜空をかける!ロマンチックなシーンに胸キュン[C]2018 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

「ウィル・スミスがジーニーを演じてくれて本当に最高!」

1992年製作のアニメーション映画を、ガイ・リッチー監督が壮大なスケールで実写映画化した本作。メンケンは「『アラジン』を実写化すると聞いて、もちろんワクワクしてうれしくもあったんだけれど、同時に『ガイ・リッチーがミュージカル!?』って意外にも思ったよ」とニッコリ。「なにをどう加えて、変えるのか。そしてなにを変わらずに盛り込むべきなのか。たくさん質問もしたし、たくさん話し合いをして、それらを明確にしたうえでプロジェクトに臨んだんだ」。

ウィル・スミスが演じるランプの魔人ジーニーには、大興奮したという。「最高だったね!ジーニーのどの楽曲も、ウィルが関わってきたヒップホップやラップといった、彼の経歴のようなものがしっかりと織り込まれたパフォーマンスになっていた。彼の持っている思いやりやユーモアまでも感じられて、ウィルがジーニーを演じてくれて本当に最高!」と手放しで絶賛し、「彼のパフォーマンスを見ていたら、感動してちょっと涙してしまったんだよ」と告白する。

ウィル・スミスが演じるランプの魔人ジーニーが「最高!」
ウィル・スミスが演じるランプの魔人ジーニーが「最高!」[C]2018 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

数々のディズニー映画の音楽を手掛けてきたメンケンは「僕にとっては、どの作品も子どものように大切。それらは曲作りをしている当時の記憶とも関わってくるからね」というが、そのなかでも92年製作の『アラジン』にはある特別な想いがある。82年のブロードウェイ・ミュージカル「リトルショップ・オブ・ホラーズ」を皮切りに、『リトル・マーメイド』(89)『美女と野獣』(91)など、長年タッグを組んできた作詞家のハワード・アシュマンが『アラジン』の製作途中で病に倒れたのだ。

「『アラジン』は僕にとっても、“旅”を感じさせる映画なんだ」

「『アラジン』の楽曲制作の間、彼はずっと病気と戦っていたんだ。彼との思い出は本当にたくさんあるよ」と目を細めるメンケン。「『アラジン』ではハワードがジャファー役をやって、僕がアラジンといったように、お互いに声をあてながら曲を作っていたんだ。でも次第に彼の声が出なくなってしまって…。とても辛かったよ。そして彼は亡くなってしまった。そういう意味でも、『アラジン』は僕個人としてもいろいろな感情が沸き上がり、いろいろな体験をした作品なんだ。ハワードが亡くなり、新たな作詞家ティム・ライスが参加して楽曲に取り組むことになって。そして今度の実写版ではペンジ・パセック&ジャスティン・ポールという、若い音楽家チームとも一緒に仕事ができた。『アラジン』は僕にとっても、“旅”を感じさせる映画なんだ」。

アラジンとジャスミンの希望への旅を描く『アラジン』。アラン・メンケンにとっても旅を感じさせる作品だという
アラジンとジャスミンの希望への旅を描く『アラジン』。アラン・メンケンにとっても旅を感じさせる作品だという[c]2018 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

珠玉の名曲「ホール・ニュー・ワールド」は、「ハワードがまだ存命の時に、『魔法のじゅうたんの曲を作ろう』というアイデアがあったんだ」とアシュマンとの思い出の1曲でもあり、「ティムとコラボした初めての曲でもある」と語る。こんな誕生秘話があるという。「ティムに会う前に何か楽曲を作って持って行こうと思い立って、真夜中に寝室から飛びだして。そうしたらギターを奏でるようなイメージで、雲の上を飛んでいるようなメロディが思い浮かんだ」。その際にはメンケンが「世界が僕の足元にある」という歌詞をつけていたそうだが、「ティムにこの曲を持って行ったら、『すごくいいけど、ラブソングのサビに“足”が出てくるなんておかしくないか?』って(笑)。さすが、作詞家だよね。結果、『ホール・ニュー・ワールド』というサビが生まれたんだ」。

『アラジン』は公開中
『アラジン』は公開中[C]2018 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

誕生から25年以上経てもなお、世界中で愛される名曲となった。メンケンは「出来上がった時に、『ホール・ニュー・ワールド』はかなり特別な1曲になると思った。世界中の皆さんの心に響いているなんて、最高の気持ちだよ」と胸に手を当て、感激しきり。また「『リトル・マーメイド』『美女と野獣』『アラジン』も、それぞれ違う個性を持っているユニークな作品であることが、楽曲からも伝わると思う。それが自分としてもとても誇らしいんだ。『アラジン』は、当時のハリウッドが思っていた東洋へのオマージュを込めた。オープニングもとてもエキゾチックで、多様な曲作りができたと思う。僕はとにかく、いつも音楽を楽しんでいるんだ」とエネルギッシュな素顔を見せていた。

取材・文/成田 おり枝

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