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『愛する人』のナオミ・ワッツ「3人の素晴らしい女性が愛おしく思える」

インタビュー 2011/1/18 10:55

『愛する人』のナオミ・ワッツ「3人の素晴らしい女性が愛おしく思える」

愛する人』(公開中)は、37年間、お互いの顔も名前も知らずに生きてきた母と娘が、悲しみを乗り越えて見出す希望と感動の物語だ。今回、エリザベス役のナオミ・ワッツが本作への出演を決めた経緯や役柄について、また妊娠中に行った撮影についてたっぷり語ってくれた。

――この役を引き受けることになった経緯を教えてください

「『21グラム』(04)を一緒にやった友人のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥから、『僕は監督しないけど、プロデュースするから』とこの映画の話を聞いたの。『親友のロドリゴ・ガルシアが脚本を書いて監督する』と言われ、すぐにこのプロジェクトに興味を持ったわ。ロドリゴは女性の描き方が上手だと知っていたから。すぐに脚本を読んだ。そして彼に空いているスケジュールを教えてほしいと言われたの。脚本を読んですぐに気に入った。でも、彼にカレンの役をやりたいと言った。彼らは少しの間、真剣に考えようとしてくれたけれど、娘の役もキャリアを持つ女性として人生のある時期に来ていたし、私の歳はカレンをやるには若すぎたの。私はエリザベスの役も気に入った。私が惹かれたカレンよりもユーモアがあって多才。死ぬ一歩手前まで全てを完全にコントロールしようとするエリザベスのそんなところが好きになったし、彼女の痛みが理解できた」

――3人のキャラクターのなかで誰に一番共感しましたか?

「脚本を読んだ時はカレンに一番共感したと思った。でも、この映画に登場するキャラクターはそれぞれの人生のそれぞれのステージを通過していて、女性だったら共感を持てる部分は見つけられるはず。たとえばルーシーは不妊の問題を抱えているけれど、30代後半でまだ正しい男性に会えてなくて、でも時間もないし、っていう女友達は私の周囲にも山ほどいるの。だからルーシーの痛みがわかる。子供を持つということが全ての女性に必要なことだとは思わない。でも、社会のプレッシャーがあって、子供を持たない女性は追い込まれたり、変人に思われたりする。このテーマについて話をする勇気をようやく女性たちが持てるようになってきた。何かが前に進むために、コミュニケーションは大きな武器だし、そこが映画というアートの素晴らしさでもある。大人数で共有することで、こういう問題を抱える女性たちの孤独が軽くなれば良いと思う」

――あなたが演じたエリザベスも複雑な役柄でしたね

「ほんとに。演じていても折り合いをつけるのが大変だった。たとえば結婚している男性の自宅に下着を隠すシーンがあったけど、当初“そこまでするの?”と思った。“悪魔の仕業なの?”って。このシーンについてはロドリゴとじっくり話し合った。でもエリザベスは邪悪な人間ではないと思った。ただ複雑で、ひどく傷ついていて、この行為は他人に対して失望しているから、こういう行為に出たのだと思った。でもこれは他人に対して失望した彼女が、彼女なりのやり方で他人の人間性を暴いているのよ。そしてそれは自分自身を反映した行為でもある。自分自身にも失望しているから。純粋で、世間知らずで、自分が偽りの人生を生きていることを母親に告げることを望んだ。自分が偽りの人生を送っているのは、母親のせいだと感じている。エリザベスは表面的には強い女に見えるけれど、実は誰よりももろくて、だから前に進もうとするし、ミステリーを創り出そうとする。たとえばサミュエル・L・ジャクソンが演じる上司のように、誰かとちょっと親しくなったり、自分の殻を開けそうになると逃げてしまう」

――妊婦姿で撮影することになった経緯を教えてください

「実はもっと前に撮影を始める予定だったの。でも他の俳優さんとのスケジュール調整があったり、映画俳優組合のストが始まる時期に当たってしまって、撮影に入ることができなくなった。それでロドリゴが『君を待とう』と言ってくれた。嬉しいことよね。低予算映画だったから大きなお腹を人工的に作る予算がなかったし、人工的なお腹は見た目も良くない。だから幾つかのシーンで本物の妊婦姿を撮ることにした。それでロドリゴが撮影のカメラマンとニューヨークまで来てくれて撮影したの」

――出産されて何が変わりましたか?

「何よりも実質的な面が変わったわね。たとえば良い仕事があったとしても、撮影がどこで、どれくらいの期間で行われて、家族のライフスタイルに合致するか、とまず自問自答する。仕事に出かけても、帰宅したら仕事は終わり。かつては翌日の撮影で何が必要かとか、その日はうまくできたかとかを夜通し悶々と悩んだりしたけれど、今は家のドアを開けて子供の顔を見た瞬間に仕事を離れているの。この仕事のラッキーなところは休止期間が多いこと。たとえば今年公開される映画が3本あるけれど、全てが昨年の前半に撮影されたの。この作品は10日間の撮影で終わったし、『Fair Game』は8から10週間くらい。ウッディ・アレンの映画(『You Will Meet a Tall Dark Stranger』)は3週間だった。作品の合間に休みがあるし、そのあとは8ヶ月撮影しなかったの。とても恵まれているわ」

――この映画は母と娘の関係の難しさも描いていますね

「母親と娘の関係はとても複雑なのもだと思う。たぶん女性の人生のなかで一番影響力の大きい人間関係だと思うの。自分と母親の関係も、少女から女性になる過程で一度辛いものになった時期もあった。良い関係が築けるようになったのは、私が親になってから。私が親のことを理解できるようになったということもあるし、彼女が祖母の役割を楽しんでいるというのも大きいでしょうね」

――最後にこの映画についてひと言お願いします

「3人の素晴らしい女性の物語で、それぞれが別々の絆を持っている。映画のテーマは母性なのだけれど、女性として、妻として、恋人としての絆の必要性などが描かれている。3人の女性の複雑な性格がうまく描かれています。時にはひどい振る舞いをしたり、恐ろしいことをしたりするけれど、それでも彼女たちを愛おしく思える。そんな映画です」【Yumiko Sakuma/Movie Walker】

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