『心中天使』尾野真千子&郭智博「不思議な映画だから、ただ感じてほしい」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
『心中天使』尾野真千子&郭智博「不思議な映画だから、ただ感じてほしい」

インタビュー

『心中天使』尾野真千子&郭智博「不思議な映画だから、ただ感じてほしい」

片岡礼子、塚本晋也出演の『溺れる人』(00)で劇場用映画の監督デビューを果たした一尾直樹監督が、10年ぶりに放つ長編第2作『心中天使』が2月5日(土)より公開される。“心中”は“しんちゅう”と読み、全く別々に生きる3人の男女の心の中が、やがてシンクロしていくという神秘的なストーリーだ。本作で主演を果たした尾野真千子と郭智博にインタビューし、本作の世界観について語ってもらった。

尾野真千子扮するピアノの教師アイと、妻子と別れ、新しい恋人と暮らし始めたユウ、高校生のケイ。3人はある日を境に、何かが自分を呼んでいるような奇妙な感覚にとらわれていく。やがて3人の人生が交錯し、予想もしなかったクライマックスを迎える。尾野、郭と共演したのは、ミスマガジン出身の新進女優・菊里ひかり。國村隼、萬田久子、麻生祐未、風間トオル、内山理名ら多彩なキャストが脇を固めている点にも注目したい。

尾野は、アイ役についてこう語った。「役に共感するってこととは少し違うかもしれないけど、アイが考えていたことって、幼い頃に自分も感じたことかもしれないって思いました。たとえば、夢を見て、空を飛べるかもしれないと思っていました。大人になると、そんなことは実際にできないってわかるんですが、小さい頃は本当に飛べるかもしれないって思ったりしたのかなって」。劇中でアイは、実際に屋根に登って空を飛ぼうとするのだ。

郭は、本作のストーリーについて「感覚ではわかっているけど、言葉に表すのが難しいんです。でも、演じるにあたっては、感じるままに自然と役に入り込めました」と語る。

尾野は「そうですね。本当はきっと難しくないことなんですよ。私たちが日常の中で感じたであろうことをやっているから。ただ、物語にした時、複雑に感じるのかな」と解釈した。

クライマックスで、3人の関係性は新鮮で意外性のある結末を迎える。詳細は伏せるが、演じたふたりもその結末には戸惑ったという。尾野はこう語る。「私たちもわからなくて。“心中天使”なので、私、天使なの?って思ったり。何だろう?ってわからずに映画の中で生きていたみたい」

郭もうなずきながら、本作を見た感想をこう述べる。「映画を見ている時に思ったのは、ああ、心の底が感じてるなってことでした。何か映画と共鳴してるっていうか。自分もこういうことを何か感じたなって思ったんです。たぶん大人の方は、昔そういう思いをしたなって思ったり、若い方はこれからする感覚だったりすると思う。日常の生活で知らないうちに感じているんだけど、感じているなって思い自体はできないものというか。でも、この映画を見ると、どこか懐かしい感覚がよみがえったりするので、そういうことも味わってほしいです」

郭の言葉を受けて、尾野も本作をアピールする。「よく映画を見る時、こんなことを感じてほしいって言うんですが、この作品こそ、人それぞれが感じて自分の中で理解してもらえると思うんです。不思議な映画なので、まずは見て感じてほしい。見た後で、それぞれが思う感想を聞いてみたいです」

一尾直樹監督の世界観を、役者として紡ぎ出した尾野真千子と郭智博。『心中天使』は、確かに「見るよりも感じてほしい」作品かもしれない。見終わった後、静かな余韻を受け、何かを自分自身に問いかけたくなる、そんな映画だ。【Movie Walker/山崎伸子】

『心中天使』は2/5(土)よりユーロスペース、2/19(土)より 名古屋シネマテーク、小牧コロナシネマワールド、安城コロナシネマワールドにて、以降、豊川コロナシネマワールド、半田コロナシネマワールドほかにて全国順次公開
作品詳細はこちらから http://movie.walkerplus.com/mv47574/
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