恐怖のテロリズムの裏側を知る…『ホテル・ムンバイ』など、実在の事件がテーマの今秋公開映画3選|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
恐怖のテロリズムの裏側を知る…『ホテル・ムンバイ』など、実在の事件がテーマの今秋公開映画3選

コラム

恐怖のテロリズムの裏側を知る…『ホテル・ムンバイ』など、実在の事件がテーマの今秋公開映画3選

世界中で絶えず発生しているテロ事件。それらに警鐘を鳴らす意味でも、実際の事件を題材とした映画は数多く作られ続けている。今秋は、そんな実在のテロを扱った作品が立て続けに公開されるので、ここで紹介しておきたい。

顧客のために命を懸けたホテルマンたちの勇気

テロの恐怖を容赦無く突きつけてくる『ホテル・ムンバイ』
テロの恐怖を容赦無く突きつけてくる『ホテル・ムンバイ』[c] 2018 HOTEL MUMBAI PTY LTD, SCREEN AUSTRALIA, SOUTH AUSTRALIAN FILM CORPORATION, ADELAIDE FILM FESTIVAL AND SCREENWEST INC

まず紹介したいのは、2008年の11月に発生したムンバイ同時多発テロ事件から、タージマハル・ホテルでの立てこもりを中心に描いた現在公開中の『ホテル・ムンバイ』。

イスラム武装勢力により500人以上の人がホテルに閉じ込められたものの、多くの人が生還を果たしたこの事件。デリーからテロ対策班が到着するまでの長きに渡る間、必死に顧客を守ろうとテロリストに見つからないように安全な部屋へ移動させたりと、危険に身を捧げた従業員たちの知られざる勇敢な行動にスポットを当てている。

【写真を見る】実際に起きたテロとの戦いを描く映画3選!(『ホテル・ムンバイ』)
【写真を見る】実際に起きたテロとの戦いを描く映画3選!(『ホテル・ムンバイ』)[c] 2018 HOTEL MUMBAI PTY LTD, SCREEN AUSTRALIA, SOUTH AUSTRALIAN FILM CORPORATION, ADELAIDE FILM FESTIVAL AND SCREENWEST INC

本作で目を引くのが、生存者に聞き込みを行うなど徹底的にリアルさにこだわったテロの描写。製作を『ボーダー・ライン』(15)のスタッフが手掛けており、いつ何が起こるかわからない緊迫感がひしひしと画面越しに伝わってくる。情け容赦ない暴力描写にはどうしようもない絶望感が漂っており、テロの理不尽さや恐ろしさをこれでもかというほど突きつけてくる作品となっている。

幾度となく映画化された伝説的作戦の新たな視点にフォーカス

これまで何度も映画化された人質救出事件を新たな視点から描く『エンテベ空港の7日間』
これまで何度も映画化された人質救出事件を新たな視点から描く『エンテベ空港の7日間』[c] 2017 STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC. All Rights Reserved

続いては、1976年に起きたイスラエル発のエールフランスハイジャック事件において、ウガンダのエンテベ国際空港でイスラエル国防軍が実施した人質救出作戦を題材とした10月4日(金)公開の『エンテベ空港の7日間』を紹介したい。

パレスチナ解放人民戦線・外部司令部と西ドイツのテロリストグループ革命細胞によってハイジャックされ、反イスラエル派の独裁者アミン大統領率いるウガンダのエンテベ空港で人質となった多くのイスラエル人とユダヤ人たち。500万ドルと50人以上の親パレスチナ過激派の解放という要求に対し、イスラエル政府はアミン大統領に交渉を試みるも、なかなからちが明かない状況に陥ってしまう。交渉の期限が迫る中、政府は国防軍による極秘作戦を遂行することに…。

衝撃的な事件の幕開けから劇的な幕切れで『エンテベの勝利』(76)、『特攻サンダーボルト作戦』(76)、『サンダーボルト救出作戦』(77)と、当時続々と映画化されたこの救出作戦。本作では、これまで描かれなかったハイジャック犯たちの視点などから現場の新たな事実を浮かび上がらせていく。

スナイパーによる一斉狙撃という前代未聞の救出作戦を映画化

フランス植民地時代のジブチで起きたバスジャック事件を題材とした『15ミニッツ・ウォー』
フランス植民地時代のジブチで起きたバスジャック事件を題材とした『15ミニッツ・ウォー』[c] 2019 EMPREINTE CINEMA – SND-GROUPE M6 – VERSUS PRODUCTION – C8 FILMS

最後に紹介するのは、1976年にアフリカのジブチで起きたバスジャック事件での、フランスの対テロ特殊部隊GIGNが遂行した人質救出作戦を描く10月11日(金)公開の『15ミニッツ・ウォー』だ。

フランス最後の植民地ジブチで、独立派武装組織により軍関係者の子どもを乗せたスクールバスが乗っ取られる事件が発生する。同士の解放とフランスからの独立を要求するテロリストに対し、フランス政府は凄腕のスナイパーからなる特殊介入チームを派遣。彼らは一斉射撃により犯人たちの同時排除という前代未聞の作戦を立案するのだが…。

現場駐留軍と話を穏便にまとめようとする外交筋との連携が取れないことで膠着状態が続くという、事がうまく運ばない様子や、思いがけない敵の出現という意外な展開は実話ならでは。ラスト15分は観客を有無を言わさずその世界に引きずり込むかのような壮絶なものとなっている。



記憶に新しい事件から日本ではあまり知られていないものまで、テロが突きつける恐怖を知るという意味でも、これらの作品をぜひ劇場でチェックしてもらいたい。

文/トライワークス

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