『ナルニア国物語3章』のアプテッド監督「3Dだけが売りの映画はダメ」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
『ナルニア国物語3章』のアプテッド監督「3Dだけが売りの映画はダメ」

インタビュー

『ナルニア国物語3章』のアプテッド監督「3Dだけが売りの映画はダメ」

C・S・ルイスの児童文学を映画化したファンタジーアドベンチャー第3弾『ナルニア国物語 第3章 アスラン王と魔法の島』(2月25日公開)が、シリーズ初の3D映画となって登場。原作はイギリスの小説だが、3作目でようやく自身もイギリス人であるマイケル・アプテッド監督の手にメガホンが委ねられた。そこで来日した監督にシリーズ3作目のこだわりを聞いてみた。

本作の設定は、ペベンシー4兄妹が活躍した前作『ナルニア国物語 第2章 カスピアン王子の角笛』(08)から約3年後。今回は、4人の中でも次男のエドマンドと末娘のルーシーがメインキャラクターとして登場する。彼らが再びナルニア国へ行き、王となったカスピアンと再会、みんなで朝びらき丸という船に乗って、伝説の魔法の剣を探す冒険の旅に出る。

アプテッド監督が3作目を手がけることが決まったのは、2作目の公開前だったという。「第2章がダークな内容だったから、今回はマジカルで楽しい物語にしたかった。ルーシーたちがみんなで航海に出るという冒険譚だから、生き生きした色彩やエネルギーに満ちた映画にしたいと思ったよ」。

プレッシャーについて、監督は当時をこう振り返った。「大人気のシリーズだし、ファンもたくさんいるから期待に応えなければいけないという思いはあったよ。でも、『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』(99) を監督した時も思ったけど、たくさんの人が楽しみに待ってくれる作品を撮れることは、とても楽しいし光栄なことだ。もちろん、それと同時に怖くもあるし、良いものを作らなければいけないという重責がセットになっているけどね」。

ルーシー、エドマンド、従兄弟のユースチスが、船が海に浮かぶ絵画を見ていたら、そこから海水が飛び出し、そのままナルニアの海へ誘われる。そんな現実の世界とナルニア国とをつなぐシーンについては、「重要な最初のアクションシークエンスだ」と語る監督。「このシリーズの楽しみの1つに、いかにペベンシー兄妹がナルニア国に行くか、というつなぎ目のシーンがあるよね。前2作が非常に魅力的なシーンになっていたので、今回も負けないようにしたかった。でも、あのシーンの撮影は危険を伴うものだったよ。3人にはスキューバのレッスンや、水中で呼吸をする練習をして臨んでもらった。実は、あれは一番最初に撮ったシーンだったので、全員が準備万端でトライしたよ。力の入ったシーンだったな」。

今回、3D映画としても公開されるが、監督は3D映像だけに頼る映画にはしたくなかったと話す。「物が飛んできたり、いかにも飛び道具的に使う3Dはあまり好きじゃないんだ。本作は豊かなキャラクターやメッセージ性の方が重要な映画だから、特殊効果的なものを売りには絶対にしたくなかった。だから3Dの使い方としては抑え気味かもしれないけど、間違いなくエキサイティングな一面を与えたとは思っているよ」。

では、監督が一番こだわったのはどういう点なのか。「リアリティかな。『ナルニア国物語』は、非常に不思議でシュールなことがたくさん起きる物語だ。僕は、本作では2つの旅を描こうとしたよ。1つはいろんな島を渡って、7つの剣を集めていくという波乱万丈の旅。もう1つは内面で繰り広げられる危険でリアルな心の旅だ。微妙な年齢の子供たちの内面をリアルに描く場合は、その分、ファンタジーのテイストもある種、リアリティを持った内容にしないと成立しないから、そこは気を配った。ちなみに俳優たちはリアルな存在感というものをみんながよく理解していたから、その辺は心配なかったけどね。全体として、娯楽性を失わずに、リアルな物語にするのが自分の責任だと思っていた」。

なるほど、確かにワクワクするような冒険ファンタジーの本作だが、ストーリーの軸の1つに子供たちの成長がきっちりと描かれているので、観客も共感してしまうのだろう。是非、今週末はルーシーたちと共に、朝びらき丸に乗って、ナルニアの大海原を旅しに出かけてもらいたい。【MovieWalker/山崎伸子】

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