男たちの人生を狂わせた!?『シャイニング』S・キューブリック監督の変人エピソード<写真11点>|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
男たちの人生を狂わせた!?『シャイニング』S・キューブリック監督の変人エピソード<写真11点>

コラム

男たちの人生を狂わせた!?『シャイニング』S・キューブリック監督の変人エピソード<写真11点>

『2001年宇宙の旅』(68)『時計じかけのオレンジ』(71)、『フルメタル・ジャケット』(87)など、数々の名作を生み出してきたスタンリー・キューブリック監督。今年は彼の没後20年にあたり、カンヌ国際映画祭では、昨年の『2001年宇宙の旅』70mm版上映に続き、『シャイニング』(80)の4Kリマスター版を上映。日本でも現在2本のドキュメンタリー映画が公開されたばかりと、盛り上がりを見せている。

没後20年を迎えたキューブリック監督がいま盛り上がりを見せている(『キューブリックに愛された男』)
没後20年を迎えたキューブリック監督がいま盛り上がりを見せている(『キューブリックに愛された男』)[c]2016 Kinetica-Lock and Valentine

キューブリックに愛された男』では、監督の専属運転手として生活を支えたエミリオ・ダレッサンドロから見たキューブリックが語られる。一方、『キューブリックに魅せられた男』では『バリー・リンドン』(75)に主要キャストとして参加し、彼の映画制作に魅せられるとその後の作品に携わり、監督の死後も献身的な仕事を続けるレオン・ヴィタリを通し、現場の様子がひも解かれていく。

『キューブリックに愛された男』は公開中
『キューブリックに愛された男』は公開中[c]2016 Kinetica-Lock and Valentine

キューブリック監督といえば、ほとんど病気とも思えるような“完璧主義者”として認知されているが、これらの映画でもそんな彼らしいエピソードの数々が語られていく。例えば、映画制作現場を兼ねていた自宅には、“ドアを開けたら閉めること”“動かしたら元の場所へ戻すこと”“他人の物を使う時は許可を得ること”などなど…12もの細かい標語が掲げられていたそうで、なんとも粘着質な彼の性格が表れている。

エミリオにはメモがひっきりなしに送られてきたという(『キューブリックに愛された男』)
エミリオにはメモがひっきりなしに送られてきたという(『キューブリックに愛された男』)[c]2016 Kinetica-Lock and Valentine

また運転手のエミリオには、食材の買い出しから犬猫や他の動物の世話、『バリー・リンドン』の小道具の確保まで、運転手の域を超えた細かな仕事がメモや電話でひっきりなしに寄せられていたというから驚き。さらに、あまりの忙しさに家族との時間が取れないたいため、エミリオが辞意を示すと、「あと2週間」が「2年」となり…と、なし崩しにしていくなど、彼の“人たらし”な一面も垣間見ることができる。

『キューブリックに魅せられた男』は、彼に尽くし続けるレオン・ヴィタリの仕事ぶりから現場をひも解いていく
『キューブリックに魅せられた男』は、彼に尽くし続けるレオン・ヴィタリの仕事ぶりから現場をひも解いていく[c]2017True Studio Media

『キューブリックに魅せられた男』でも、すべての上映用のフィルムの5本のうち1本は、全巻の色調をチェックしていたという驚愕のエピソードや、撮影を「磔のようだった」と語る『フルメタル・ジャケット』主役のマシュー・モディーンなど様々な人物の証言など、彼の完璧主義に振り回される現場の過酷さが映像アーカイブと共に映し出されていく。

『フルメタル・ジャケット』のマシュー・モディーンは、撮影を「磔のようだった」と振り返るなど、その過酷さが見て取れる(『キューブリックに魅せられた男』)
『フルメタル・ジャケット』のマシュー・モディーンは、撮影を「磔のようだった」と振り返るなど、その過酷さが見て取れる(『キューブリックに魅せられた男』)[c]2017True Studio Media
完璧主義でありながらも人たらしだったというキューブリックの素顔を垣間見ることができる(『キューブリックに魅せられた男』)
完璧主義でありながらも人たらしだったというキューブリックの素顔を垣間見ることができる(『キューブリックに魅せられた男』)[c]2017True Studio Media

その執着心を表す有名なエピソードとして、1カットに132回ものテイクを重ねた…というものがあるが、その作品となったのが、誰もが知るホラー映画の傑作『シャイニング』だ。続編となる『ドクター・スリープ』も11月29日(金)に公開され、さらなる盛り上がりを見せること間違いなしのいま、これらのドキュメンタリーで、監督キューブリックの真の姿に触れてみてほしい。

文/トライワークス

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