『シティーハンター』冴羽獠を演じた仏コメディ界の風雲児 フィリップ・ラショーを直撃!!|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
『シティーハンター』冴羽獠を演じた仏コメディ界の風雲児 フィリップ・ラショーを直撃!!

インタビュー

『シティーハンター』冴羽獠を演じた仏コメディ界の風雲児 フィリップ・ラショーを直撃!!

フランスで動員168万人超を記録し、原作者・北条司をして「その手があったか!」と驚かせたフランス実写版『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』が、いよいよ本日より日本公開。本作で監督・脚本、そして冴羽獠を演じたフィリップ・ラショーにインタビューした。

本作の脚本に18か月をかけたフィリップ・ラショー
本作の脚本に18か月をかけたフィリップ・ラショー撮影/杉映貴子

――『シティーハンター』のアニメはフランスではどれくらい人気があったんですか?

「僕たちは1990年代に日本のアニメをむさぼるように観た世代なんです。TVで毎日のように放送されていて、この映画には『キャプテン翼』や『ドラゴンボール』に目配せをした小ネタも入ってます。フランス語の言葉遊びで日本の皆さんには伝わりづらいかも知れませんが。ただ『シティーハンター』もある時期から放送されなくなり、今なおファンを続けている僕たちはオタク的と言えるかも知れない。でもこの映画がヒットしたおかげで再放送が始まり、若い世代にもちょっとしたブームが起きているんです」

――監督デビュー作の『真夜中のパリでヒャッハー!』(14)では、漫画家志望の主人公を演じていました。

「子供の頃から映画監督になりたい気持ちと漫画家になりたいという夢の狭間で揺れ動いていました。だから『真夜中のパリでヒャッハー!』には自伝的な要素があります。あの映画では『マリオカート』のパロディもやりましたね(笑)」

――前作『アリバイ・ドット・コム カンヌの不倫旅行がヒャッハー!な大騒動になった件』(17)ではジャン・クロード・ヴァン・ダムになれるシーンもありますし、映画の中で次々と夢を叶えてるんですね!

「その通りです(笑)。でも冴羽獠を演じるのはこれまで以上に快感でした。今まではどちらかというとおちゃらけたコメディで、今回アクション込みでカッコいい姿を演じられたのは役者冥利に尽きます。似てないと言われる怖さはありましたけど、僕が監督ですからね。監督が僕を主演に選んだんだから仕方ないですよ(笑)」

【写真を見る】香役のフォンタンとラショーは、実生活ではパートナー同士。劇中の獠と香が息ピッタリなのも納得!
【写真を見る】香役のフォンタンとラショーは、実生活ではパートナー同士。劇中の獠と香が息ピッタリなのも納得! [c]AXEL FILMS PRODUCTION - BAF PROD - M6 FILMS

――プロットを北条司先生に持ち込んで映画化のOKをもらったそうですが、1か所だけ修正依頼があったと聞きました。

「そうなんです。獠が香を抱きしめるシーンで、ライフルの銃口で別の女の子のスカートをめくるというのが僕のアイデアだったんです。でも北条先生は、実際のところは獠は香を愛していて、そんなことはするはずがないとおっしゃった。だからスカートの裾がまくれるのは風のせいにして、獠が悪いわけじゃないことにしたんです」

――そこまでしてもスカートはめくりたかったんですね!

「そうです!でも獠に関しては北条先生のほうが正しかったので、助言をもらえて本当にありがたかった」

――『世界の果てまでヒャッハー!』(15)でもとんでもない長回しのスタントがありましたが、今回の車の解体場でのアクションもこっていました。

「あのシーンはみなさんが話題にしてくれて、僕自身もオリジナルな出来だと思って満足してるんです。視点が途中で主観に切り替わったり、特撮で銃が磁石に吸い上げられたり、すごく複雑なので撮影には1週間かかりました。スクラップの鉄が熱くなって、現場の気温は50度くらいだったんですよ」

――原作やアニメ版以上にギャグや小ネタが満載ですが、笑いのアイデアはどこから?

「コメディの脚本づくりは大変です。真剣に少しずつ書き進めていくんですが、ネタが思いつかず数日をムダにしたり、本当に地味で地道な作業なんです。時々『この映画は一晩でひらめいた』なんて言う人がいますけどコメディではあり得ない。それに僕らのつくるような映画はカンヌ映画祭に出品されたりもしません(笑)。でもポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』(20年1月10日公開)はとても上手いバランスでコメディ要素が入っていてすごく良かったですね。フランスでは興行的にはコメディが大人気で、僕らの映画も年間ベスト3に入るんですよ!」

取材・文/村山章【DVD&動画配信でーた】

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