赤塚不二夫ファンの浅野忠信「赤塚先生が僕を選んでくれたような気持ちになった」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
赤塚不二夫ファンの浅野忠信「赤塚先生が僕を選んでくれたような気持ちになった」

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赤塚不二夫ファンの浅野忠信「赤塚先生が僕を選んでくれたような気持ちになった」

「天才バカボン」など、数多くのヒット作品を生み出した“ギャグ漫画の王様”赤塚不二夫と名物編集者の伝記ドラマを浅野忠信、堀北真希出演で映画化した『これでいいのだ!! 映画・赤塚不二夫』が公開初日を迎え、浅野、堀北、阿部力、木村多江、いしだあゆみ、佐藤英明監督が舞台挨拶を行った。

1967年(昭和42年)、小学館の入社式で紫のスーツに出っ歯の“イヤミ”に扮して登場したのは、「少年サンデー」の看板作家・赤塚不二夫(浅野忠信)。赤塚の呼びかけで社員全員で“シェー”のポーズをとる中、新入社員の武田初美(堀北真希)は呆然と立ち尽くしていた。赤塚はそんな初美の手足をつかんで無理やり“シェー”のポーズをさせようとする。超バカ天才漫画家と編集者・武田初美との初めての出会いだった。

主演を務めた浅野忠信にとって、赤塚不二夫は少年時代から赤塚本人の写真を部屋に貼っていたという特別な存在。「漫画に影響を受けたというよりも、勝手に『赤塚先生なら僕をわかってくれるんじゃないか』と思って、ずっと大好きだった人です。今回、映画のお話をいただき、赤塚先生が僕を選んでくれたような気持ちになりました。僕自身、赤塚さんに対して何ができるのか毎日考えて演じきることができて、皆さんに見てもらえる日を迎えることができて本当に嬉しいです」と挨拶した。

浅野扮する赤塚とコンビを組み、名物編集者・初美役を演じた堀北真希は、今回劇中でコメディエンヌぶりを発揮している。堀北は「できあがった映画を見たら、『自分かな?』と思うような自分がスクリーンの中にいてびっくりしました。変なことをいっぱいしていますので、たくさん笑ってもらえたら嬉しいです。深い絆や愛情が詰まった作品で、ラストにも注目してほしいです」と映画の見どころを語った。

編集者・広瀬を演じた阿部力は、「赤塚先生に対してあまり詳しくありませんでしたが、赤塚さんは中国で生まれて日本に来た。そこに自分との共通点を感じましたし、この映画に関われて嬉しかったです」とコメント。赤塚の妻・トシ子を演じた木村多江は、「奥様はどんなふうに先生を見守られていたのかなとずっと考えて、おふたりが写った写真を毎日見て、撮影に臨みました。頭を馬鹿にして映画を楽しんでほしいです」と話し、赤塚の母親・ヨリ役を演じたいしだあゆみは、「浅野さんが可愛くて、かなりすごい! 赤塚さんはお母様が大好きで、お母様も赤塚さんを溺愛されていた。多江ちゃんが演じた奥様は、ちょっと辛かったんじゃないかなと思うほどでした」と映画の感想を話した。

今回、メガホンをとった佐藤英明監督は「赤塚さんは『誰も読んだことのない漫画を描きたい』とよく仰っていて、キャストの皆さんに対して、誰も見たことのない演技をしてもらいたかった。すると、皆さんは200%以上応えてくれた。映画を見て確認してほしいです」と語った。また監督は、赤塚の顔がプリントされたTシャツを昨年の5月1日から着始め、この日も着用。「今日で無事に365日目を迎えることができました。水戸黄門の印籠の気分で難しいことも聞いてくれた気がする」と赤塚Tシャツの威力を話した。それに対して、いしだは「Tシャツの赤塚さんと監督の顔が似ていて、『監督』と呼ぶ時に、赤塚さんの顔を見てしまったくらい」と撮影中のエピソードを披露。

また、赤塚不二夫の人物の魅力について、浅野は「子供の頃に親や先生に怒られていたような、人に怒られる自分がいても良いんじゃないかという気持ちになりました」と話し、堀北は「甘え上手なところがあって、私は甘えるのが下手なので羨ましいなと思いました」、阿部は「すごく優しい方でご本人が大変なことを経験しているからだと思う」、木村は「子供のような純粋になれる力を持った人」とそれぞれコメント。すると、いしだが「と、いうふうに私は育てました(笑)。良い意味で放任主義。素晴らしいご両親だったと思います」と赤塚不二夫の育て方を絶賛した。

フォトセッション時、カメラマンから「シェー」のポーズを求められた浅野。「いつポーズをやらされるのかと思っていましたが、実際にやったら逆に緊張してきました(笑)。お客さんもみんなでシェーをやってくれたら嬉しいです」と客席に呼びかけ、浅野のかけ声で「シェー!」と登壇者と観客がいっせいに赤塚色に染まった。浅野らキャストも「ありがとうございます」と満足そうな笑顔を浮かべ、和やかなムードに包まれた舞台挨拶となった。浅野&堀北の異色コンビが二人三脚の爆笑エピソードを繰り広げる本作。笑いと愛にあふれた映画を是非とも劇場で楽しんでもらいたい。【取材・文/鈴木菜保美】

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