『キャッツ』見せ場の歌唱シーンでテイク14回!トム・フーパーと主演女優も手応え|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
『キャッツ』見せ場の歌唱シーンでテイク14回!トム・フーパーと主演女優も手応え

インタビュー

『キャッツ』見せ場の歌唱シーンでテイク14回!トム・フーパーと主演女優も手応え

『キャッツ』の主演女優、フランチェスカ・ヘイワードとトム・フーパー監督
『キャッツ』の主演女優、フランチェスカ・ヘイワードとトム・フーパー監督撮影/奥野和彦

映画『レ・ミゼラブル』(12)に続き、再びミュージカルの金字塔を実写映画化した『キャッツ』公開中)のトム・フーパー監督と、本作のヒロインに大抜擢されたフランチェスカ・ヘイワードが揃って来日。英国ロイヤル・バレエ団のトップ、プリンシパルであるフランチェスカは、本作で映画初出演を果たしたシンデレラガールだ。今回、フランチェスカと彼女を見出した名匠、トム・フーパー監督に話を聞いた。

映画版の主人公は、ロンドンのゴミ捨て場に迷い込んだ白猫のヴィクトリア(フランチェスカ・ヘイワード)。彼女は、人間に飼いならされることなく自由気ままに生きる“ジェリクルキャッツ”たちと出会い、彼らとの交流を経て、自分の人生を切り開いていく。そしてある満月が輝く夜、長老猫オールド・デュトロノミー(ジュディ・デンチ)により、新しい人生を生きることを許されるたった1匹の猫が選ばれる「ジェリクル舞踏会」が開かれる…。

「映画も人間がライブで身体的に表現しなければいけないと考えた」(監督)

ロンドンの片隅にあるゴミ捨て場に迷い込んだ白猫ヴィクトリア(フランチェスカ・ヘイワード)
ロンドンの片隅にあるゴミ捨て場に迷い込んだ白猫ヴィクトリア(フランチェスカ・ヘイワード)[c] 2019 Universal Pictures. All Rights Reserved.

ハイブリッドなVFXによって、猫のモフモフ感をまとったキャスト陣が、心揺さぶる歌と躍動感にあふれたダンスパフォーマンスを見せてくれる本作。トム・フーパー監督は、その手法へのこだわりについて「やっぱり『キャッツ』は、猫ではなく人間が演じるもの、という考え方が人々のDNAに刷り込まれていると思う。それに、元々『キャッツ』は詩人T・S・エリオットの詩集がベースとなったミュージカルだが、それは猫についてよりも、人間について書かれたものだと思っている。僕は舞台版をリスペクトしているので、映画も人間がライブで身体的に表現しなければいけないと考えた。だから、人間のダンスを優先させ、毛皮やメイクなどをすべてVFXにするという手法を選んだんだよ」。

8歳のころに舞台版『キャッツ』を鑑賞し魅了されたという共通点を持つ2人。バレエダンサーであるフランチェスカだが、どうしても『キャッツ』を演じてみたいと思い、自らオーディションを受けた。「8歳のころは、バレエダンサーを夢見ていて、いろいろなミュージカルの舞台をビデオで観たけど、『キャッツ』ほど、ダンスに比重を置いている作品はないと思った。だから私はとても心を惹かれて、何度も観たの。それに、ヴィクトリアには舞踏会の開催を告げるバレエソロのパートがあって、そのダンスにすっかり惚れ込んでよく真似をして踊っていた。だから今回、映画版ができると聞いてオーディションを受けに行ったの」。

ヴィクトリア役のフランチェスカ・ヘイワード
ヴィクトリア役のフランチェスカ・ヘイワード撮影/奥野和彦

バレエダンサーとしては超一流でも、歌の経験は皆無だったフランチェスカ。最初のオーディションで、いきなり歌を歌わされた時は「ちょっと待って!」と戸惑ったそうだが、その後、順調にオーディションを通過していった。「ヴィクトリア役に最終決定した時はびっくりした。まさかこんな大役がいただけるなんて思ってもみなかったから。その後、監督と話し合っていくなかで、プレッシャーと同時にやりがいを感じていったの」。

「フランチェスカは突然彗星のごとく現れ、本物の映画スターになった」(監督)

マンカストラップ(ロビー・フェアチャイルド)はヴィクトリアの相談役
マンカストラップ(ロビー・フェアチャイルド)はヴィクトリアの相談役[c] 2019 Universal Pictures. All Rights Reserved.

フーパー監督は、オーディションで見つけたフランチェスカについて「僕の監督人生においても、2度とないと思えるくらいの出会いで、これだけ光り輝くものを持ち合わせている人も珍しいと思った」と、運命的なものを感じたようだ。

さらに、撮影に入っても驚きの連続だった。「フランチェスカは映画女優でもないのに、カメラを前にした時、どう動けばいいのかを自然にわかっていた。それは、ジュディ・デンチかイアン・マッケランなど、ベテランレベルのスキルだと思う。なぜ、新人女優にあんなことができるのだろうとびっくりしたよ」。

さらに「なによりも最高だったのは、撮影が進むにつれ、彼女の才能の底深さがどんどんわかっていったことだ」と絶賛する。「フランチェスカは突然彗星のごとく現れ、本物の映画スターになった。すばらしい演者というのはそういう資質を持ち合わせている。自分の心の奥底に、普段は明かさない特別なものを持っていて、カメラの前で演じている時だけ、それを観客と分かち合うことができるんだ。偉大なスターが持っているその資質を彼女は持っている。ジュディはまさにそういうタイプだったが、フランチェスカも同じく“本物の才能”の持ち主だと思う」。

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