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アイスランド初のホラー映画は社会問題をネタにしたやばすぎる怪作

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アイスランド初のホラー映画は社会問題をネタにしたやばすぎる怪作

日本やノルウェーと並び、世界有数の捕鯨国として知られるアイスランド。総人口約30万人の小さなこの国で初めて誕生したホラー映画という触れ込みの『レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー』(6月4日公開)は、そんな捕鯨をネタにしたブラックな怪作に仕上がっている。

物語の舞台は、アイスランドの首都レイキャヴィク。ホエールウォッチングの名所として知られ、世界中から観光客が訪れる都市だが、観光客船の一つがひょんなことから遭難状態に陥ってしまう。天の加護か哀れみか、そこに通りかかった一隻の捕鯨船に観光客たちは助けを求めるが、乗り込んでいたのは捕鯨の禁止で飢えに飢えた、殺人狂の一家だった。

かつて捕鯨大国だったものの、反対運動により長らく捕鯨禁止となっていた過去を持ち、ホエールウォッチングなどの観光業との共存を模索しているアイスランド。次々と残虐な殺しが起きる血みどろスプラッター作にもかかわらず、自国の社会情勢を痛烈に風刺したブラックな笑いたっぷりのテイストに思わずお腹を抱えてしまうはず。

そして、キャスティングの妙もこの作品の異質ぶりを引き立てている。観光客船に乗り合わせた日本人女性エンドウを演じているのは、デヴィッド・リンチ監督『インランド・エンパイア』(07)や、クリント・イーストウッド監督『硫黄島からの手紙』(06)など、ハリウッド作品への出演でワールドワイドな活躍を見せている女優・裕木奈江。犯人たちよりも恐ろしく腹黒い悪女を演じた彼女と、『悪魔のいけにえ』(74)で殺人鬼レザーフェイス役を演じたホラー界の伝説、ガンナー・ハンセンとのまさかの共演も見逃せないポイントだ。

スウェーデン映画『ぼくのエリ 200歳の少女』(10)がハリウッドリメイク版の『モールス』として8月5日(金)に公開されるなど、北欧ホラーが注目を浴びている昨今。センシティブなテーマを扱いながらも小難しくならず、ホラー映画のツボを押さえた仕上がりがユニークなこのアイスランド初のホラー映画を、是非劇場で見てもらいたい。【トライワークス】

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