【今週の☆☆☆】原発事故の知られざる真実を描く『Fukushima 50』やアカデミー賞主演女優賞に輝いた『ジュディ』など週末観るならこの映画！
東日本大震災をテーマにした、闇を抱える若者たちと“死”の物語『サクリファイス』(公開中)
立教大学現代心理学部映像身体学科で学んだ壷井濯監督によるこの長編デビュー作は、在学中に東日本大震災をテーマにした課題の脚本を書いたことから出発したという。しかしアフター3.11映画によくある“癒やし”や“絆”を描いた感動作とはまったく違う。表向きは優等生だが、猫殺しや女子大生殺しに関わった疑いを持たれる沖田。彼の本性を執拗に暴こうとする塔子。かつて震災を予知した陸上部の翠。そんな心に闇を抱えた若者たちの葛藤と衝突を、猟奇事件、新興宗教、超能力といったモチーフを通してあぶり出す。いささか観念的なセリフが目立ち、ストーリー展開もかなり混乱気味。それでも監督自身の心情が投影されているであろう登場人物たちの剥き出しの孤独、不安を、謎とサスペンスが渦巻くフィクショナルなアプローチで描き、“その先”に何があるのかを探求した映像世界には異様な迫力がみなぎっている。本作は、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019の国内コンペティション長編部門で優秀作品賞を受賞した。(映画ライター・高橋諭治)
週末に映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて！
構成/トライワークス
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