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人生の締めくくりに必携(?)のアイテム、エンディングノートとは

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人生の締めくくりに必携(?)のアイテム、エンディングノートとは

数年ほど前から浸透し始め、東日本大震災の発生以後、より注目を集めているというエンディングノートなるものをご存知だろうか? 簡単に説明すれば、遺書よりもフランクな備忘録のようなノートのこと。もしもの時に役立つように、自分の葬儀のこと、預貯金のこと、そして家族へのメッセージなど、面と向かって伝えづらいことを文字に残し、きちんと自分の意思を伝えることができ、大手メーカーからも様々な商品が発売されている。そんなアイテムを題名に冠したドキュメンタリー映画『エンディングノート』が10月1日(土)より公開される。

本作で主人公として描かれているのは、営業一筋の熱血サラリーマンとして約40年間会社を支え続けた男、砂田知昭。彼は67歳で会社を退職後、セカンドライフを楽しもうとしていた矢先に胃ガンが発見され、死を覚悟しなければならなくなってしまう。そこで登場するのが先述のエンディングノートだ。砂田は残される家族のため、そして自身の人生を総括するために、死に至るまでの段取りを決め、エンディングノートの作成に力を注ぎ込んでいく。

そんな男の姿にカメラを向けたのは、彼の実の娘である砂田麻美監督。本作で監督デビューを果たす彼女は、大学在学中よりドキュメンタリーを学び、是枝裕和監督のもとで監督助手として従事してきた。師匠ともいえる是枝監督が本作のプロデュースを務め、「監督の視線は人間の、生命の、家族の面白みと哀しみの両方に届いていた」と砂田監督の実力に太鼓判を押していることからも、その仕上がりに期待がかかる。

映画のテーマとなっているのは、どうしても重く深刻になりがちな、家族の生と死だ。しかし、その印象に反して、内容は家族のためにどこまでも陽気に生きようとする砂田の明るいキャラクターによって、不思議と晴れやかなムードになっている。マスコミ試写では笑いと涙ぐむ声が会場から聞こえるなど、哀愁とユーモアを交えて家族の絆を見事に描き出した本作。これを機に、人生の“終活”について少しだけ考えてみるのも良いかもしれない。【トライワークス】

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