原田芳雄が満身創痍で車椅子の登壇。『大鹿村騒動記』舞台挨拶に感動

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原田芳雄が満身創痍で車椅子の登壇。『大鹿村騒動記』舞台挨拶に感動

原田芳雄が映画化を切望し、阪本順治の記念すべき監督20本目の映画となった『大鹿村騒動記』(7月16日公開)のプレミア試写会の舞台挨拶が、7月11日に新宿バルト9で開催。現在、腸閉塞と肺炎で加療中の原田は、最後のフォトセッション時に車椅子で登場した。本作への熱いメッセージは、原田の盟友で、俳優の一人として出演した石橋蓮司が力を込めて代弁し、大きな声援を受けた。

『大鹿村騒動記』は、長野県大鹿村で300年以上続く村歌舞伎を背景に、個性あふれる村人たちの人間模様を綴った人情喜劇だ。舞台挨拶に登壇したのは、原田、大楠道代、佐藤浩市、松たか子、冨浦智嗣、瑛太、石橋蓮司、小倉一郎、でんでん、加藤虎ノ介、小野武彦、阪本順治監督の総勢11名。大楠は「大鹿村はとても寒かったです。でも、村の方々がとても温かったです。ほぼ合宿状態で、撮影をやって宴会をやって、また撮影して宴会やっての毎日でした」と、楽しそうに語った。

この面子の中では、佐藤も若手に位置する。「ベテラン勢ばかりそろっています。今日は年寄りが多いです(笑)」と、笑顔で挨拶した後、「この現場では、皆さんをお迎えして、まず挨拶するという感じでした。フレッシュな若かりし頃を思い出しました」と楽しそうに語った。松たか子も「先輩だらけの現場でした。皆さん、芝居も面白いんです!」と目を輝かせてコメント。瑛太は「やらないよりは思い切りやった方が良い。遊ばないよりは思い切り遊んだ方が良い。そんなことを感じました。素晴らしい映画です」と感慨深い表情で話すと、一番若手に当たる冨浦も「この映画に出させていただいたことを誇りに生きていきたいです」と、嬉しそうに語った。

主演の原田は舞台挨拶の後半に車椅子で登場。闘病でやつれた表情がうかがえたが、ゲスト陣との再会を心から喜んでいた。そんな原田のメッセージを、石橋が「今日はどうもありがとうございます。どうぞごゆっくりご覧ください」と力強く読み上げると、会場は拍手に包まれた。名優・原田は、目に涙を潤ませながら、その後のフォトセッションに応じた。

原田をはじめとする芸歴何十年のベテラン俳優陣と、松たか子、瑛太ら若手俳優たちが織り成すアンサンブルドラマ『大鹿村騒動記』は、ユーモアと優しさ、そして人生のほろ苦さが入り交じった人間賛歌の映画となった。また、満身創痍で登壇した原田には、改めて俳優スピリットを感じ、大いに心を揺さぶられた。【取材・文/山崎伸子】

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