東日本大震災から約4ヶ月。今、生きることを『ツリー・オブ・ライフ』などの映画を見て考えたい|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
東日本大震災から約4ヶ月。今、生きることを『ツリー・オブ・ライフ』などの映画を見て考えたい

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東日本大震災から約4ヶ月。今、生きることを『ツリー・オブ・ライフ』などの映画を見て考えたい

映画史上に残る『天国の日々』(83)、『シン・レッド・ライン』(99)を世に送り出した孤高の天才テレンス・マリックが6年ぶりにメガホンを握り、家族や生命を鮮烈に描いた『ツリー・オブ・ライフ』(8月12日公開)。

2011年カンヌ国際映画祭でパルム・ドールに輝いた本作。同映画祭の審査委員長を務めたロバート・デニーロが本作を選んだ最大の理由は、作品のメッセージ性だった。実業家として成功した主人公が、人生の岐路に思い悩む中で、厳格な父に反感を抱いていた少年時代を回想しながら過去から未来へと受け継がれていく生命の連鎖を見出す。生きること、また人生とは何か? いつの時代も尽きることのない普遍のテーマを見事に映像叙事詩として完成させたマリック監督へ世界から祝辞が贈られた。

そして今、生きることをテーマにした作品が次々と公開されている。現在公開中の作品では、破綻した家族を支える男が自分の末期がんを知り、残された時間を子供たちのために生きることを決意する『BIUTIFUL ビューティフル』と、子供たちがお互いの言葉に刺激を受け、他人の話に耳を傾けること、そして意見は違っても、自分たちの力で考える力を身につけていく世界初の試みとしてフランスの幼稚園で行われた授業“哲学のアトリエ”に、二年間にわたって密着したドキュメンタリー『ちいさな哲学者たち』、パレスチナ・ガザ地区で20年以上取材を続けるテレビジャーナリストのシュロミー・エルダール監督が、余命わずかなパレスチナ人の赤ちゃんとその母親、治療に当たるイスラエル人医師に密着した『いのちの子ども』。

これから公開される作品には『ツリー・オブ・ライフ』のほかに、第二次世界大戦中の1942年、フランス政府によって行われたユダヤ人一斉検挙、ヴェルディヴ事件粘り強い取材と綿密な時代考証によって実際の出来事を限りなく事実のままに再現、家族と引き裂かれながらも、過酷な運命を懸命に生きた子供たちの姿を描いた『黄色い星の子供たち』(7月23日公開)や、いじめられっ子のエリアスとその家族が直面するパーソナルな問題から、世界で生じるグローバルな問題とを浮き彫りにし、それぞれが許しと復讐、善と悪との狭間で揺れ動く様を描いた『未来を生きる君たちへ』(8月13日公開)。

これらの作品画像はその多くが不思議と、人が人を抱きしめているものばかりだ。3月11日の東日本大震災から約4ヶ月。映画を見てもう一度、生きることを考えてみるのも良いだろう。【Movie Walker】

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