板尾創路、第35回モントリオール世界映画祭に登場「次はヴェネチアを目指したい」

板尾創路が監督・脚本・主演を務めた『月光ノ仮面』(2012年1月14日公開)が、開催中の第35回モントリオール世界映画祭のフォーカス オン ワールドシネマ長編部門に出品され、レッドカーペットと正式上映＆ティーチインに登場した。

現地時間8月18日に行われたオープニングレッドカーペットには、白のモーニングスーツに、映画を意識した“赤の眼帯”をつけ、まさに“日の丸月光ノ仮面”姿で登場した板尾。前作『板尾創路の脱獄王』(10)では、アジア圏の映画祭へ出品を果たしていた板尾は、「今回はもっと広く世界の方々に作品を見ていただきたいと思っていたので、北米の映画祭へもってこられたのは、その第一歩だなと嬉しく感じています。出品決定の要因はどこだったのか、どこを気に入ってもらえたのか聞きたいですね」と期待を寄せた。普段は芸人としても活躍している板尾だが、映画監督としての同映画祭出席に「お笑いをやっているだけでは、今回みたいに海外の映画祭に招待されることもないので非常に光栄なことです。何といってもここには僕のことを知らない人ばかりだということが気持ちが良い。先入観なしに、『月光ノ仮面』を見て、何かを感じてもらえる。“板尾創路の”という枕言葉は海外の方々にはなく、作品のクオリティをしっかり感じてもらえることが嬉しいですね」と、海外の観客からの反応が気になるようだ。

翌日、現地時間8月19日に行われた正式上映＆ティーチインでは、一言も発しない主人公という設定について、「演じるうえで辛くなかったか？」などの質問が飛び、「全く辛さは感じなかった。目で演技するという難しさはあると思いますが、前作もセリフのない設定でしたし、こっちの方が好きなようです」とコメント。上映後は観客からの質問攻めにあったが、「日本の方々は、『ほんこん。さんはなぜ出演していないの？』とか『キム兄の方から出演させてって希望があったんですか？』と、芸人板尾あっての質問が多かったりするんですよね。それに比べて、こちらの方々は映画の内容をしっかり真剣に聞いてくれるので単純に嬉しいですし、監督として、答え甲斐があります」と本音を漏らした。

迫ってくる日本公開に向け、「テレビに出ている人間からしたら、日本人は強敵ですよね。今回の作品はぶっ飛んだ設定なので、理解できなくて当然、理解して楽しむ映画じゃないと思いますし。どたばたのコメディ映画ではなく、しっかり一つの映画として完成させたつもりなので、じっくり見てくれる人はいるはず」と話し、「前作『板尾創路の脱獄王』は、ちょっと悔いが残るところもあったんですが、今回は全くそれがないです」と自信を見せた。

上映終了後、観客からは「とても興味深い作品で楽しめました！ 多くの象徴的な表現を使い、監督は珍しいくらいスローペースで徐々に話を進めていき、エンディングは驚きです。ビジュアル的に美しくとても良かったと思います」などの声が聞こえ、板尾は「次はもちろんヴェネチア(映画祭)を目指したい。行けたら最高ですよね」と、さらなる飛躍を誓った。【Movie Walker】