不思議な響きの難読地名“天使突抜”ってどんなところ?
先斗町(ぽんとちょう)、化野(あだしの)、一口(いもあらい)等々、観光客には解読しづらい不思議な地名が点在する京都。その中でも一際異彩を放つ名前として、ごく一部の地元の人にのみ知られる町“天使突抜(てんしつきぬけ)”を舞台にした映画『天使突抜六丁目』が、11月19日(土)より公開される。
本作は、工場の倒産でヤクザに追われる身となった青年・昇を主人公に、彼がたどり着いた幻の町・天使突抜六丁目で出会った不思議な住人たちのとの奇妙な日常を綴ったファンタジードラマだ。園子温監督や塚本晋也監督を輩出したPFFで高い評価を得て、『ひとりかくれんぼ 劇場版』(09)でプロデビューを果たした京都出身の山田雅史監督が、現存する町をモチーフに、タイトル同様に幻想的な世界観を描き出す。
ちなみに、天使突抜通りは、京都の玄関口である京都駅のある京都市下京区に位置する。“天使”と“突抜”という何とも奇妙な語が組み合わさった地名の由来は、16世紀後半にまで遡る。当時、町を開くために五條天神宮の鎮守の森に道が作られた。五條天神宮は、天から使わされた少彦名命(すくなびこなのみこと)が祀られていることもあり、別名“天使の杜”とも呼ばれていた。そこの境内に“突き抜けて作られた道”ということで、その通りは「天使突抜」と名づけられたとのこと。そうして作られた「天使突抜」だが、近年は裏中筋通と呼ばれ、地元では別名の方を用いる人が多くなっているようだ。
悠久の歴史に彩られ、不思議な魅力を放つ京都。名前の響きそのままに不思議な「天使突抜」で繰り広げられる、本作のシュールかつ奇妙な世界に触れてみてはいかがだろうか。【トライワークス】
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