ジョージ・ルーカス、ブロックバスター映画から引退を表明
『スターウォーズ』シリーズの監督や数々の大ヒット超大作のプロデューサーとして知られるジョージ・ルーカスが、ブロックバスター映画から引退することを表明した。
長年温めてきた企画で第二次世界大戦を舞台に描いた『Red Tails』(全米1月20日公開)を手がけたルーカス本人が、ニューヨーク・タイムズ紙のインタビューで「『スターウォーズ』シリーズはもちろんのこと、ブロックバスター映画関連のビジネスや企業から全面的に手を引くことにした」ことを明らかにしたが、スティーブン・スピルバーグ監督作『インディ・ジョーンズ』シリーズ第5弾が製作される際には、当初の予定通り、製作として大作に携わることになるようだ。
ルーカスが所有するルーカスフィルムの長年のパートナーも、「『Red Tails』を最後に、ルーカスはコマーシャル映画から引退するでしょう。この作品で彼は、自分がやりたいことを全てやり尽くしました。人間として、また映画製作者として、彼は任務を達成したんです」と語っている。また同紙は、「ルーカス監督がブロックバスター映画を引退するのは、南カリフォルニア在籍中に手がけたSF短編映画『電子的迷宮 THX 1138 4EB』のようなアート系、自らの原点となる作品の製作に戻るため」だと報じており、映画業界から引退するわけではなさそう。
『Red Tails』の製作に当たって、アメリカのメジャースタジオから資金援助を断られたために5800万ドルの私費を注ぎ込んだルーカス監督が、「この映画が、黒人が主役の映画だからだ。白人の主役がいない黒人の初めてのアクション映画と言えるだろうね。そういう映画にハリウッドは興味も示さないし、一銭も出さないんだ」とうんざりした様子で語っていたことを考えると、ハリウッドでのブロックバスター映画の製作に限界を感じたのかもしれない。
かつてジェームズ・キャメロン監督が、スタジオの反対を押し切って、膨大に膨らむ製作費を自分で捻出して大成功を収めた『タイタニック』(97)を思い出すが、『Red Tails』が大成功を収め、スタジオの態度が変われば、ルーカスも考えを変えることがあるのだろうか? 『電子的迷宮 THX 1138 4EB』の長編映画版製作からわずか7年後には『スター・ウォーズ』(77)を世に送り出し、映画の新しい時代を切り開いた時代の寵児だっただけに残念な話だが、既にスティーブン・ソダーバーグ監督最新作『Haywire』(全米1月20日公開)の製作にも携わっているように、今後はアート系作品の製作に尽力していくようだ。
なお『スターウォーズ』6シリーズの3D上映については、ここ数年間の間に予定通り公開されるという。【NY在住/JUNKO】