ウォシャウスキー姉弟が10年ぶりに来日!「『クラウド アトラス』は自分たちの集大成」と晴れやかな笑顔 |最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
ウォシャウスキー姉弟が10年ぶりに来日!「『クラウド アトラス』は自分たちの集大成」と晴れやかな笑顔

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ウォシャウスキー姉弟が10年ぶりに来日!「『クラウド アトラス』は自分たちの集大成」と晴れやかな笑顔

デヴィッド・ミッチェルによる同名ベストセラー小説を映画化した『クラウド アトラス』(3月15日公開)の来日会見が1月24日、六本木グランドハイアット東京で開催され、監督のウォシャウスキー姉弟とトム・ティクヴァが登壇。『マトリックス』シリーズ以来、10年ぶりに来日を果たしたウォシャウスキー姉弟の姉ラナは「私の心はいつも東京と共にあります。スピリチュアルな故郷だと思っています」と笑顔で挨拶した。

本作は、過去・現在・未来にまたがる500年のエピソードが交差しながら、登場人物たちが姿が変わっても引かれ合い、出会いと別れを繰り返す様を描く感動巨編だ。ラナとアンディのウォシャウスキー姉弟と、『ラン・ローラ・ラン』(98)のトム・ティクヴァの3人で共同監督・脚本を務め、迫力のビジュアルとロマンあふれる世界観で見る者を圧倒する。原作は500年にわたる物語とあって、映像化不可能と言われてきたが、ラナは「映像化不可能だと言われるからこそやってみたかった」とコメント。トムも「そのチャレンジこそが、私たちを惹きつけたんだ」と語り、旺盛なチャレンジ精神が彼らを結びつけたという。

国や人種、性別の境界線を越えた人間の本質を表現するために、一人の役者が同じ魂を持つ複数の人物を演じることでも話題となっている。主人公の魂の成長を演じきるのは、名優トム・ハンクスだ。トム・ティクヴァ監督は「過去の人生にあったことが、進化した次のストーリーにも表情として表れてくる。つながりをもまとめあげて表現するようなトム・ハンクスの演技を見る瞬間は、作り手としてもとても素晴らしいものだった」と充実の表情を見せた。トムに続いて名を連ねるのは、ハル・ベリー、スーザン・サランドン、ヒュー・グラント、ヒューゴ・ウィーヴィング、ペ・ドゥナなど、国際色豊かなキャスト陣。ラナは「みんな、このアイデアをとても楽しんで挑戦してくれたの。それぞれの魂が色々な顔を持っている。キャラクターのアイデンティティを探求する機会にもなったと思うわ」とキャスト陣の意欲に感心しきりだ。

生命の誕生、死、そして人はなぜ生きるのかという人類永遠のテーマに挑んだ本作。アンディは「私の人生そのものが反射した鏡のような作品だ。自分に対する教訓が含まれていて、色々な批判があっても、頭に釘を刺されても、この作品を完成させたいと思った」と熱意を明かし、ラナも「美的にも哲学的にも、大きなキャンバスだった」と振り返る。続けて「私たちにとって大事だったことは、映画のなかに私たちの信念を込めること。人間の進化や支配、差別の壁を乗り越える方法、また愛が扉を開く可能性があるものだと伝えたかった」と心を込めて語ってくれた。

また、日本に造詣が深いことでも知られるウォシャウスキー姉弟だが、自身に影響を与えた日本のカルチャーについて聞かれると、ラナは「今、村上春樹の新作を読んでいるの。彼の作品は全て好きよ」と笑顔を浮かべ、トムも「黒澤、溝口、小津など、日本映画が大好きで、たくさんのことを学ばせてもらった。ドイツの映画より身近で、僕に深く影響を与えているよ」と答えた。アンディは三船敏郎からの刺激を明かしながらも「『クラウド アトラス』は、自分が見て、聞いてきた文学や美術などを込めた自分の中の集大成だ」と胸を張った。

3人の天才監督の情熱は、一つのジャンルに収まらない壮大な作品となった。最後にラナは、「私たちはストーリーテリングはこうあるべき、という慣例が嫌いなの。新しいアプローチを常に考えているのよ」と目を輝かせた。観客にとって本作が衝撃的な映画体験となるに違いない。【取材・文/成田おり枝】

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