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レオス・カラックス監督、長編監督作は13年ぶり「何とか1本、早く映画を作りたかった」

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レオス・カラックス監督、長編監督作は13年ぶり「何とか1本、早く映画を作りたかった」

『ポンヌフの恋人』(91)のレオス・カラックス監督が、最新作『ホーリー・モーターズ』(4月公開)を引っさげて来日。1月27日に渋谷ユーロスペースでの先行上映会に出席し、評論家の佐々木敦、劇作家で小説家でもある岡田利規と共にティーチインを行い、自らの映画作りについて語ってくれた。

寡作な監督で知られるカラックス監督。『ホーリー・モーターズ』は、オムニバス映画『Tokyo!』(08)以来4年ぶり、長編監督作としては『ポーラX』(99)以来13年ぶりの監督作となった。カラックスは本作をとても短い期間で作り上げたと言う。「早く何とか1本、映画を作らないといけなかったんです。そのために、ラッシュプリントは見ませんでした」。

ドニ・ラヴァン扮する主人公オスカーは、白いリムジンに乗り、パリの街中を移動する。ある時は富豪の銀行家、またある時は殺人者、物乞いの女、怪物など、彼は次々と姿を変えていく。本作は、これまでのカラックスの作品群とは全く異なるアプローチをした、異色作である。カラックス監督は本作の主人公について「ただの俳優ではなく、むしろSFの世界にいる主人公ということで、構想しました。今日生きていることは何なのかという問いかけをしたかったんです」と語った。

さらに、本作についてこう解説してくれた。「私は何かの思想があって映画を作り出すのではありません。ある種の映像と、ある種の感情があって、その関係を見つけていくんです。当初、それは漠然としたものですが、編集している時点で気づくこともあります。この映画については、ふたつの相反する感情がありました。誰しも自分自身を抜け出すことができない、自分でしかあえりえないという感情。すなわち自分であり続けるために、狂ってしまいそうになる疲労感です。もうひとつは、自分を新たに作り出したいという気持ちです。ただ、それはなかなできません。かなりの力と運がないと作れないんです」。

ミステリアスで挑発的なストーリーテリングで見せる『ホーリー・モーターズ』。鬼才が手掛けた奇想天外な世界観を、あなたはどう見るだろうか。【取材・文/山崎伸子】

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