メリルvsホフマン! “疑惑”に巻き込まれる面白さ―No.1 大人の上質シネマ|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
メリルvsホフマン! “疑惑”に巻き込まれる面白さ―No.1 大人の上質シネマ

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メリルvsホフマン! “疑惑”に巻き込まれる面白さ―No.1 大人の上質シネマ

現・ハリウッドのお局と言えば、なんといってもメリル・ストリープだろう。確かな演技力、圧倒的な存在感、泣く子も黙る貫禄をたたえ、大女優の冠はほしいままだ。

そんな彼女が、アカデミー賞15回目の候補として選出された『ダウト あるカトリック学校で』(3/7公開)で演じるのは、カトリック学校を営む校長のシスター・アロイシス。規律をちょっとでも乱す者は許さない、といった厳格者ぶりは、あの『プラダを着た悪魔』の編集長よりもハマっている。

物語は、アロイシス(メリル・ストリープ)が、フィリップ・シーモア・ホフマン扮するフリン神父に抱いたある“疑惑”から始まる。生徒と不純な関係にあるのではないか?――それはやがてある目撃談を得て“真実”へとすりかわり、やったorやってないの舌戦を展開させていく。メリルvsホフマンという名優同士によるせめぎあいは法廷モノさながらの緊迫感があり、目の利く大人なら満足度は高いはず。

本作の見どころは、一度抱いた“疑惑”に支配され、自身を見失っていくアロイシスの感情の移り変わりだ。最初は、フリン神父への一方的な先入観や嫌悪感、嫉妬や妄想により悪者に仕立て上げるアロイシスに違和感を抱くだろう。しかし、いい人に見えていたフリン神父にもどこか怪しさをただよわせる展開に、観客はアロイシス同様、誰が正しいのかわからなくなってくる。そう、これは観客を“疑惑”の渦に巻き込む映画。真実を見極めるのはあなた自身なのだ。

謎解きを装いながら「黒か、白か?」ではなく“疑惑”そのものにスポットをあてる描写が実にうまい。観終わった後はきっと誰かと話したくなるはずなので、パートナーを誘ってから映画館へ行くことをオススメしたい。【ワークス・エム・ブロス】

■『ダウト あるカトリック学校で』は、3月7日(土)TOHOシネマズ シャンテ/Bunkamuraル・シネマほかにて全国ロードショー

【大人の上質シネマ】大人な2人が一緒に映画を観に行くことを前提に、見ごたえのある作品を厳選して紹介します。若い子がワーキャー観る映画はちょっと置いておいて、分別のある大人ならではの映画的愉しみを追求。メジャー系話題作のみならず、埋もれがちな傑作・秀作を取り上げますのでお楽しみに。

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