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エスカレートするアニメ映画の先着特典事情って

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エスカレートするアニメ映画の先着特典事情って

2月23日・24日の興行成績ランキング初登場3位(動員)と、少ないスクリーン数にもかかわらず大ヒットスタートを記録した『劇場版 とある魔術の禁書目録 エンデュミオンの奇蹟』(公開中)。動員の大きな原動力となった理由の一つに、先着特典として配布された文庫本の存在がある。

「とある魔術の禁書目録 ロード トゥ エンデュミオン」と題されたこの特典は、何とボリュームにして224ページ。内容も一冊の文庫本として売り出しても十分に通用しそうなものとなっており、“先着特典を超えた特典”として話題を呼んでいるのだ。そんなアニメ映画に見られる先着特典だが、最近は少々過熱気味とも思える流れができている。

その兆しを見せていたのが、2009年末に公開された映画『ワンピース ONE PIECE FILM STRONG WORLD』(09)だった。公開時には原作者・尾田栄一郎が書き下ろしたコミック零巻が先着特典として配られ、多くのファンが殺到。大ヒットの起爆剤となったことを覚えている人も多いだろう。そして、その流れは2012年暮れに公開され、驚異的な興行成績を叩き出している『ONE PIECE FILM Z』(12)へと続く。こちらはコミック千巻と、特典の入った海賊の宝袋が配られ、『ワンピース ONE PIECE FILM STRONG WORLD』を上回るヒットとなり、先着特典の効果を十二分に実証した形だ。

さらには、2013年1月に公開された『劇場版 HUNTER×HUNTER 緋色の幻影』(公開中)も、「ワンピース」に追随するように0巻プレゼントを実施。それまで4週にわたって首位を譲らなかった『ONE PIECE FILM Z』に代わり、初登場1位を記録する結果を残した。

2012年に公開された「NARUTO ナルト」劇場版『ROAD TO NINJA NARUTO THE MOVIE」(12)では、劇場入場者特典として本ではなくDVDが配布された点も見逃せない。原作者・岸本斉史のインタビューやモーションコミックなどが収録され、34分にも及び特典は何と約1億円かけて制作されたものだ。しかも、DVDが特典となったのは映画史上初の試みだったそう。古くから子供向け映画には先着特典が存在していたが、これらの状況には「ここまできたか!」といった感がある。

ちなみに映画『けいおん!』(11)ではリピーター特典として生フィルムが劇場配布されていたが、フィルム上映が激減している状況から、こうしたフィルムプレゼントは逆にレアなケースになっていくかもしれない。

原作ファンが確実に映画を鑑賞するための工夫として、高い効果を生み出している劇場特典。だが、裏を返せば、ここまでしなければ劇場に足を運ばなくなってしまったということなのかもしれない。次第に特典が豪華になり、ハードルが上がり切ってしまうと、特典のない映画は見向きもされない、といった悲惨な事態に陥らないとも限らない。魅力的な特典だけでなく、映画本編のクオリティでもファンの心をしっかりつかんでくれることを祈りつつ、どんな新たな特典が登場するのか、今後の動向に注目したいところだ。【トライワークス】

※特典の電撃劇場文庫は既に品切れの劇場も出ているので、入手したい方はお早めに!

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