3人に2人が土下座の経験アリ!?阿部サダヲ、宮藤官九郎らが“謝罪”談義|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
3人に2人が土下座の経験アリ!?阿部サダヲ、宮藤官九郎らが“謝罪”談義

インタビュー

3人に2人が土下座の経験アリ!?阿部サダヲ、宮藤官九郎らが“謝罪”談義

『舞妓Haaaan!!!』(07)、『なくもんか』(09)に続き、主演・阿部サダヲ、脚本・宮藤官九郎、監督・水田伸生の顔合わせで放つ3作目の爆笑コメディ『謝罪の王様』(9月28日公開)。今回のテーマは“風刺”で、阿部は、「謝罪師」を生業とする主人公・黒島譲役に扮する。まさに三位一体(!?)となって、笑いを追求した3人にインタビューし、撮影秘話を聞かせてもらった。

土下座ならお手のものである黒島。彼が、依頼人のいろんなトラブルを丸く収めようと大奮闘する姿は、滑稽かつ最高に愉快だ。本作は、水田監督が宮藤に「風刺喜劇をやりませんか?」と持ちかけたことがきっかけでスタートした。宮藤は言う。「風刺は全部の作品に少しずつ入っていますが、がっつりやったことがなくて。それで、台本を書こうとしたら、東日本大震災が起こった。一度完全にリセットしたんですが、テレビをつけたら、誰かしらが謝っている。議員が暴言を吐いて辞め、また、次の人も同じことをする。あの人は謝罪したとかしなかったとか、そういうことをみんなが見張っているような風潮があった。その時、謝るってことはすごく大事で、これをやったら風刺になるんじゃないかと思いました」。

そこから、謝罪師というアイデアが生まれ、宮藤は、水田監督とプロデューサーと話を詰めていった。「そしたら2人から『俺は土下座をしたことがある』と言われたんです。その時に『土下座をしている時、人は誰でも主人公』というセリフを思いつきました」。過去に2回も土下座経験がある水田監督は「そのうち1回はホテルオークラのレストランでした。まさに、ひのき舞台でしたが、どういう内容かは言えません」と失笑した後「そもそも世の中に対する憤りを、社会派ぶってやるのではなく、笑い飛ばしてしまおうというのが、とても痛快だと思ったんです」と、本作の作風について語った。

黒島は毎回巧みな謝罪テクニックを伝授し、相手の同情を引き出していく。阿部自身もよく人に謝ることが多いと言う。「携帯のメールの変換で、“す”と押したら“すいません”って出てきちゃう。もはや、挨拶みたい」と苦笑い。宮藤は、サラリーマンは特に謝るシチュエーションが多いのではないかと考える。「後ろにいる部下とか、誰かのために謝らないといけないから、またちょっと違いますよね。そこで謝ることは、ちょっと格好良かったりするわけだし。僕自身は、心のこもってないごめんなさいは、家で連発するらしいです(笑)」。

水田監督は、すぐに謝ってしまう日本人気質についてこう語った。「日本に来て、日本語を勉強する外国人が驚くそうです。意訳せず直訳すると、日本人は『すみません』『ごめんなさい』ばかりを連発するってことで。『すみません』を『Excuse me』ではなく『Sorry』と訳すると、大変なことになります。喫茶店でコーヒーを頼むだけで、『すみません。ちょっと良いですか?ごめんなさい。コーヒーお願いします』ってなるでしょ(笑)」。

宮藤は、完成した映画を見た感想をこう語った。「謝るというすごくシンプルなことが、シンプルじゃなくなっているんだなと思いました。そんなに重いテーマじゃないけど、この先、人に謝ったり、謝られたりしている時に、この映画を思い出してニヤニヤしちゃいそう。それは良いことだと思います」。阿部も水田監督も共感しながら、笑顔を見せた。

ジャブやアッパーと、色んな笑いが連打され、最後には驚きのエンディングが用意されている『謝罪の王様』。謝罪コメディという、斬新なジャンルをとことん楽しみたい。【取材・文/山崎伸子】

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